下記記事にあるように、生物学では長らく、後天的に獲得した形質は遺伝しないと考えられていましたが、近年になって、その通説を覆すような事象が報告されるようになりました。
この問題の本質には、生物の遺伝や進化に対する「DNA絶対視」或は「DNA支配説」があるように思います。DNAがすべてを決める事を前提として、人種間の優劣を論ずる「優生学」が生まれたのは周知のことです。偏った【科学】が偏った【思想】を生み出し、その根拠となることの社会的損失は計り知れません。
単純に事実を見れば、生物は外圧に適応することで生存が可能となり、子孫を残し、進化することができます。獲得形質が遺伝しない偶然の進化だけで生物が生き残れる確率はほぼゼロです。
逆に「親の獲得形質が子に全面的に伝わる」とした【ルイセンコ学説】があります。
生物の進化や適応に関してはまだまだ未解明だと思いますが、興味深い説もあります。
この説は主流の学会では全く相手にされていないようですが、根拠はあるのではないでしょうか?
スミルノフ生命物理学によるルイセンコ学説の批判と止揚!!!!Dr佐野千遥 (リンク)
親の獲得形質が子に全面的に伝わる、としたルイセンコ学説は、
“全面的”とした所に誤りが有った。ルイセンコ学説はソ連邦スターリニズムの退潮と共に、その全部が誤謬のダーウィニズム進化論により批判され直して、世界規模で一旦凋落した。
しかし、下記の引用でも分かるように、ルイセンコが“全面的”とした点を除いて、今日再び、欧米の理論生物学の分野に於いてすら、親が環境情報から獲得した形質が、条件が整えばDNAに取り込まれ、子に遺伝する事が明らかに成りつつある。(リンク)
“2004年にRassoulzadeganのグループは、RNAが生殖細胞系に何らかの影響を及ぼしているという説をNature誌に投稿した。これが実際に確認されれば、従来の遺伝学に大きな影響を与え、DNA-RNAの役割や相互作用に関する多くの謎が解明されると考えられている。2015年、ペンシルバニア大学のTracy L. Baleらは、精子中のマイクロRNAの発現量が子に伝わり、父親の獲得形質が子に受け継がれることを明らかにした。彼女らは、オスのマウスに過度なストレスを与え、そのマウスをメスのマウスと交配させた。生まれたマウスに過度なストレスを与えたところ、ストレスに対する耐性が父のマウスよりも高くなっていた。彼女らは、その原因としてマイクロRNAを挙げた。彼女らは父親マウスの精子中のマイクロRNAの発現量が増加していることを発見し、このマイクロRNAが受精卵内のmRNAを破壊している事実を明らかにした。これらのことは、父親が獲得した形質がマイクロRNAを通して子に伝わることを示唆している。”<引用は以上>
スミルノフ生命物理学は、環境情報は学習されてRNA内に蓄積されるが、
それが実際DNAの変更を結果するには、
それは或る条件を満たす必要が有る、とする。<RNAがDNAの進化を引き起こす生化学反応・生成過程>
DNAは
アデニン(A)
グアニン(G)
シトシン(C)
チミン (T)
から成りRNAは
アデニン(A)
グアニン(G)
シトシン(C)
ウラシル(U)
から成る。生物進化は確かに存在するが、それは確率論的なダーウィン進化ではなく、合目的的な進化である。
人体内で、通常、RNA生成量が最大の臓器は肝臓であるが、学習時にはRNA生成量最大臓器は頭脳となる。
進化の基礎には学習の蓄積が有る分けだが、では、学習の蓄積がどの様な条件が整うと本当にRNAの構造変化を引き起こし、それによる転写の際にDNAに構造変化が起こり、遺伝情報自体に決定的な変化が起こるのかを次に解明しなければならない。
生体内には負の電磁率の箇所と正の電磁率の箇所が混在しており、その正と負は固定的でなく、その箇所の体温の変化と共に常に変化している。
スミルノフ生命物理学は、環境情報は、リボ核酸(RNA)のリボソーム(リンク)
典型的な動物細胞の模式図: (1) 核小体(仁)、(2) 細胞核、(3) リボソーム、(4) 小胞、(5) 粗面小胞体、(6) ゴルジ体、(7) 微小管、(8) 滑面小胞体、(9) ミトコンドリア、(10) 液胞、(11) 細胞質基質、(12) リソソーム、(13) 中心体(リンク)
の各々のリボースの誘電率極性がエピマーとなるかアノマーとなるかの選択により生じる組み合わせ論的構造差異情報として学習される、とする。この様にして環境からの学習結果を蓄積したリボ核酸(RNA)のリボソーム構造は、負の透磁率の水分と負の誘電率のコラーゲンから成るその生命体内空間が強力に負の誘電率・負の透磁率に成った時、DNAに転写されて、DNAの決定論的反エントロピー的合目的的な変化=進化を齎す。
概要
生物学では長らく、後天的に獲得した形質は遺伝しないと考えられていました。ところが近年になって、その通説を覆すような事象がいくつか報告されるようになりました。例えば、高カロリー食により肥満になった父ラットから生まれた娘ラットが、通常食で育ったにもかかわらず糖尿病の症状を示すという報告が挙げられます。このように、親が生育した環境によって子供の表現型が変化を受ける可能性が示唆されているものの、それがどのようなメカニズムで生じるのかについてはほとんど明らかではありません。
そこで本研究グループは、親から子へと受け継がれる生存優位性に着目し、寿命・老化研究に広く用いられるモデル生物である線虫 C. elegans を実験対象として、獲得形質の継承メカニズムの解明に迫りました。
その結果、親世代において、成虫になるまでの発生過程で低容量のさまざまなストレスを与えて育てると種々のストレス耐性が上昇すること、さらにその耐性上昇はストレスを与えずに育てた子世代や孫世代にも受け継がれることを見出しました。加えて、オス親のみにストレスを与える場合にも、その子世代の線虫でストレス耐性上昇や寿命の延長といった効果がみられることが明らかになりました。このことは、核内でのエピジェネティックな変化が、獲得形質の継承に関わっていることを示唆しています。
◎獲得形質の遺伝が進化に関与するか?
以上のように最近は、親が一生の間に獲得した形質が子や孫に遺伝することを示唆する研究が次々と現れている。卵子と精子が結合して受精卵ができるところから新しい世代がスタートするが、その時点ではそれぞれの生殖細胞のDNAはクロマチンのかたちで折りたたまれており、それぞれのエピジェネティックな状態を保持している。受精後にはそれが初期化されるのだが、もしもこれが完璧なものであれば、獲得形質が遺伝する余地はないことになる。しかし、実際には初期化を免れるエピジェネティックな変化が存在することがわかってきたのだ。
具体的に生殖細胞の変化としてとらえられ、しかも初期化を免れる機構の詳細が明らかになったわけではないが、今回紹介したようにエピジェネティックな変化が遺伝していると考えられる例があるのだ。従って、原理的にはラマルク的な獲得形質遺伝の余地があることになる。
このようなエピジェネティックな変化が実際の進化にどのような役割を果たしているかという問題は、生物進化学の今後の大きなテーマである。
細菌がウイルスから身を守るしくみ
獲得形質は遺伝する。じつは、獲得形質の遺伝は、生命にとって本質的な性質の1つである。もしも、そういう性質がなかったら、生命は私たちを生み出す前に死に絶えていたことだろう。獲得形質が遺伝することは当たり前のことなのだ。
地球には生物がたくさんいる。大ざっぱにいって、小さいものほど数が多い。だから、地球には細菌がたくさんいる。細菌は、私たちの目に見えないほど小さいからだ。
しかし、細菌よりもっと小さいものがいる。それはウイルスだ。ウイルスは生物に含めないことが多いけれど、生物に近いものであることは間違いないので、ここでは生物として扱うことにしよう。
ウイルスは細菌より小さいので、細菌よりもたくさんいる。そして、ウイルスの中には、細菌に感染するものもたくさんいる。私たちから見れば、ウイルスも細菌もとても小さいし、両方とも私たちに感染することがあるので、同じようなものに思える。しかし、両者の関係でいえば、ウイルスの方が細菌に感染するのである。
ある試算によれば、ウイルスの感染によって、毎日地球にいるすべての細菌の約40パーセントが死んでいるという。これは決して大げさな数字ではない。ウイルスは細菌にとって、非常に危険な存在なのだ。そのため、細菌はウイルスに対して防御システムを進化させた。その1つがクリスパー・キャスというシステムである。
クリスパー・キャス
細菌はウイルスに感染すると、ウイルスのDNAの一部をクリスパーに取り込む。クリスパーというのは、細菌のDNAの中にある領域の名前である。
それからしばらくして、再びウイルスが細菌に感染すると、細菌は侵入してきたウイルスのDNAと、クリスパーに取り込んであるDNAを照らし合わせる。そして、もし両者が一致すれば、侵入してきたウイルスのDNAを、直ちにキャスが切断する。キャスというのは、鋏の役割をするタンパク質の名前である。
このシステムがあるため、同じ種類のウイルスに再び感染しても、細菌が死ぬことはほとんどない。つまり、クリスパー・キャスは、細菌の免疫システムといってよいだろう。クリスパーに取り込まれたウイルスのDNAは、さしずめ免疫記憶といったところだ。細菌は一度感染したウイルスのDNAを覚えていて、再び同じウイルスに感染すると、すみやかにそのウイルスを撃退するのである。
このクリスパー・キャスは非常に古いシステムで、現在の地球に生きているすべての生物の共通祖先の段階で、すでに存在していたことがわかっている。
ちなみに、ジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエが開発して、2020年のノーベル化学賞を取ったことで有名になったクリスパー・キャス9(ナイン)というシステムは、クリスパー・キャスを応用した遺伝子編集技術のことである。
獲得形質の遺伝の例
クリスパー・キャスによる免疫記憶は、典型的な獲得形質である。細菌が生きているあいだに獲得され、それが細胞分裂を経て次の世代へと受け継がれていくからだ。このような獲得形質の遺伝というシステムを、現在の地球に生きているすべての生物の共通祖先が持っていたということは、獲得形質の遺伝が生物の本質的な特徴の一つであることを意味している。
ところで、獲得形質の別の例としては、エピジェネティクスも挙げられる。かつては、遺伝情報というものは、DNAの塩基配列がすべてであると考えられていた。しかし、それ以外にも遺伝情報が存在することがわかってきたので、DNAの塩基配列以外の遺伝情報をエピジェネティックな情報と呼ぶようになった。これは、以下のようにまとめることができる。
エピジェネティックな情報=すべての遺伝情報-DNAの塩基配列の情報
そして、エピジェネティックな情報が、細胞分裂を経て伝わる現象のことを、エピジェネティクスという。
エピジェネティクスにはいろいろなものがあるが、一般的なものとしてはDNAのメチル化がある。これは、DNAの中の塩基の部分にメチル基が結合(メチル化)したり、離れたり(脱メチル化)することだ。このメチル化のパターンが、遺伝情報になっていることが知られている。
DNAの塩基配列を変化させるのは大変だが、メチル化のパターンを変化させるのは比較的簡単である。そのため、塩基配列よりメチル化のパターンの方が変化しやすい。実際、塩基配列は、生物の一生を通じて変化しないことが普通だけれど、メチル化のパターンは、生物の一生の間にも変化するし、同じ個体の中でも細胞が異なれば、メチル化のパターンも異なることが普通である。
さらに、環境などの影響でメチル化のパターンが変化することも、それほど珍しいことではない。
たとえば、セイヨウタンポポを低栄養状態にすると、メチル化のパターンが変化する。そして、この変化したパターンは、子の世代にも伝わる。これは、親が生きているあいだに獲得した形質が子に伝わったのだから、獲得形質の遺伝である。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い?
ところで、獲得形質の遺伝が話題になると、必ずといってよいほどラマルクが引き合いに出される。そして、「ラマルクの主張は間違っており、獲得形質の遺伝は存在しない」みたいなことが言われたりする。でも、それは間違いだ。
ラマルクが主張した考えは、用不用説と言われる。親の世代でよく使う器官が発達すると、その発達した器官が子供の世代にも伝わるという説だ。たとえば、トレーニングによって発達した筋肉が子供にも遺伝する、みたいなことである。しかし、実際にはこういうことはないので、用不用説は間違いとされている。
この用不用説は、獲得形質の遺伝を前提としているけれど、獲得形質の遺伝とイコールではない。用不用説は、獲得形質の遺伝の一部に過ぎないのである。それにもかかわらず、「用不用説は間違っているので、獲得形質の遺伝は存在しない」みたいな誤解が広がっているのは残念なことだ。
獲得形質の遺伝には、さまざまなものがある。クリスパー・キャスも、エピジェネティクスも、用不用説も、みんな獲得形質の遺伝だ。それなのに、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、とでもいうように、用不用説が間違っていれば、獲得形質の遺伝はすべて間違っている、というのはおかしいだろう。獲得形質の遺伝が存在することは、揺るぎない事実なのだから。
自然淘汰が獲得形質の遺伝を作った
ところで、ラマルクとダーウィンを対比する習慣のせいか、獲得形質の遺伝と自然淘汰を対比する場合がある。しかし、自然淘汰の影響力は非常に広く、生物の世界全体に及んでおり、獲得形質の遺伝を丸ごと飲み込んだ形になっている。
たとえば、獲得形質の遺伝の例として挙げたクリスパー・キャスは、間違いなく自然淘汰によって作られたものだろう。一方、エピジェネティクスは、どうやって進化してきたのか具体的にはよくわからないけれど、自然淘汰とは関係なしに進化してきたとは考えられない。獲得形質の遺伝は、あくまで自然淘汰の掌の上で踊っているに過ぎないのである。
考えてみれば、生物は奇跡的な存在だ。空を飛ぶための素晴らしい翼、光を有機物に変える精緻な光合成システム、そして私たちが自分を自分であると認識している不思議な意識。どれもこれも、じつに複雑で、じつに上手くできている。そして、こういう奇跡を生み出したのは、自然淘汰なのである。
しかし、ラマルクの時代には、進化のメカニズムとしての自然淘汰は知られていなかった。そこで、ラマルクは、獲得形質の遺伝に、奇跡を生み出す力を与えようとした。そして考え出されたのが、用不用説だ。用不用説なら、翼だって作ることができる。奇跡を起こすことができる。しかし、残念ながら、そういうメカニズムは存在しなかった。
獲得形質の遺伝は、間違いなく存在する。しかし、用不用説以外の獲得形質の遺伝には、奇跡を生み出す力はない。奇跡を生み出したのは自然淘汰である。獲得形質の遺伝も自然淘汰によって作られたものであり、その掌の上で踊っているに過ぎないのである。
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