JOG(1460) しっかりした親子関係を築く道 ~ それが不登校問題でも解決の鍵

現代の日本
JOG(1460) しっかりした親子関係を築く道 ~ それが不登校問題でも解決の鍵
親の愛情と承認が子供の自信と自尊感情を育て、ストレスを乗り越える力を与える。 ■転送歓迎■ R08.02.22 ■ 85,681 Copies ■ 9,382,620Views■ 過去号閲覧: 無料受講申込み: __________ ■■■「動画」版国際派日本人養成講座 最新号■■■ JOG(788) 歴史教科書読み比べ(8) ~ 聖徳太子の理想国家建設  …

JOG(1460) しっかりした親子関係を築く道 ~ それが不登校問題でも解決の鍵

親の愛情と承認が子供の自信と自尊感情を育て、ストレスを乗り越える力を与える。

■1.1クラスに1人は不登校の子供

花子: 最近、私のクラスの子が一人、不登校になってしまいました。冬休み明けから全く学校に来ないんです。心配しているんですけど、、、

伊勢: 近年、不登校の子供が増えて、大きな問題になってるね。文科省のデータでは、2024年度では小学生13万8千人、中学生21万6千人、合計35万人ほどもいる。10年前は10万人ほどだったので、急速に増えているんだよ。比率で言えば、児童全体の3.9%、35人のクラスなら、各クラスに1人はいる計算だ。

花子: このまま不登校が続くと、どうなるのでしょうか?

伊勢: 不登校のままだと、進学や就職にも差し支えるし、そのまま成人しても引きこもりになってしまう恐れもある。本来なら夢や志を持って、活き活き伸び伸びと成長する子供たちが、学校に行けなくなってしまう、というのは、なんとも気の毒な事態だね。

 この問題は、我が国の国是にも関わる。近代日本の号砲となった五箇条の御誓文では、明治天皇が国民へのお手紙(億兆安撫国威宣揚の御宸翰)を発せられていて、そこには、こういう一節がある。
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「天下億兆、一人も其処を得ざる時は、皆朕が罪なれば」
(すべての国民がひとりでも、その処を得られない時は、みな私の罪であるので)
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花子: 「その処を得る」というのは、どういう意味ですか?

伊勢: 人はみなそれぞれの処を得て、共同体のために尽くしてこそ、お互いに思いやりを寄せ合う「仕合わせ」になれる。それが我が国本来の「幸せ」の理想像なんだね。不登校とは、まさに子供が「その処を得られない」ことで、「仕合わせ」への道を閉ざされた状態なんだ。それは我が国の国是からも見過ごしてはならない事態なんだ。不登校は現代日本の大きな問題だね。

■2.『不登校の9割は親が解決できる』

花子: 不登校の問題の深刻さは分かりましたけど、何か解決する方法はないんでしょうか?

伊勢: 実は実績も豊富な「不登校解決支援サービス」を提供している会社がある。株式会社スダチと言うんだけど、その代表取締役・小川涼太郎という方が書いた『不登校の9割は親が解決できる 3週間で再登校に導く5つのルール』という本が面白い。

花子: へえ、不登校の9割も親が解決できるんですか?

伊勢: この人は、ボランティア活動を通して多くの不登校の子ども達と関わる中で、「不登校で悩んでいる人たちを1人でも多く救いたい」という想いから、2020年4月に不登校支援事業を開始したんだ。その後、4年間で支援した家庭での不登校児童の再登校率は90%以上、人数は850名を超えている。

花子: 具体的にどんな支援をされるんですか?

伊勢: 実際の例を紹介しよう。シングルファーザーのKさんには小3の娘さんがいた。3年生になるとクラス替えがあって、初日から「学校に行きたくない」と完全に不登校になってしまった。
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スクールカウンセラーの方からは「『学校に行け』とは言わないでください」と言われました。いろいろ本を読んで調べてみても、やはり「学校に行けとは言うな」と書いてあります。その通りにしてみたところ、娘は当たり前のように学校に行かなくなってしまいました。[小川、p47]
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花子: 専門家の言う通りにしたのに、逆効果だったんですか?

伊勢: そうなんだ。Kさんが会社に行っている間、娘さんはテレビやゲーム三昧。でも、不登校について書かれた本には、ゲームを取り上げてはいけないと書かれていた。

■3.「普段こんなに娘と会話していなかったのかと気づいた」

伊勢: 近くに住む祖母が、なんとかしたいと、スダチの支援サービスを見つけたんだ。そしてスダチのサポートに従い、朝起きる時間と、食事の後は食器を片付けることを決め、テレビやゲームは再登校できるようになるまでいったん制限することにした。

花子: ルールを決めたんですね。でも娘さんは反発しなかったんですか?

伊勢: このルールを娘に伝えるとき、「お父さんはあなたのことを真剣に考えています。このままでは良くないと思ったので、ルールを決めました」と言ったそうだ。そうしたら、娘は何も言わずに涙を流した。

花子: 娘さんに、お父さんの本気が伝わったんですね。その後はどうなったんですか?

伊勢: Kさんはスダチのサポーターと毎日メールのやりとりをした。ところが書くことがなくて、「私は普段こんなに娘と会話していなかったのか」と気づいた。これではいけないと思い、積極的に娘と話をし、褒めるようにした。

花子: お父さん自身も変わっていったんですね!

伊勢: そうだ。すると、娘の表情が次第に明るくなってきた。1ヶ月くらい経って、その変化から、「そろそろ学校に行ってみようか」と声をかけた。すると小さな声で「学校に行く」と。でも、いきなり学校に連れて行くのも心配だったので、クラス替え前に一緒だった子の親御さんたちにお願いして、週末に10人くらい遊びに来てもらい、楽しい一日を過ごした。
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月曜日、不安ながらも私が教室前まで娘を連れて行くと、一緒に遊んだ子たちが廊下まで出て来てくれて、周りを囲むようにして一緒に教室に入っていきました。それからは学校に通うことができています。・・・
 サポートを受けている間に、私は自分自身が変わったという実感があります。ここで学んだことを大切にして、良い親子関係を続けていきたいと思っています。[小川、p50]
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花子: 素敵なお話ですね。子どもだけじゃなくて、親も一緒に変わっていくことが大切なんですね!

伊勢: その通りだ。不登校の解決には、親子関係の改善が鍵になるというのが、小川さんの主張なんだよ。この点は通常の家庭でも、大変参考になる。

■4.しっかりした親子関係を築くための鍵は親の姿勢

花子: 不登校って学校の問題とか、先生たちの責任だと思っていたんですが、違うんですか?

伊勢: そう思われがちだが、実は家庭での親子関係がしっかりできていないケースの方が多いんだ。

花子: え、そうなんですか? でも、いじめとかが原因の場合もあるのでは?

伊勢: それがね、データを見ると意外なことが分かる。文科省の令和4年度のデータによると、不登校の最も多い要因は「無気力・不安」の51.8%、次いで「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が11.4%。不登校の要因としての「いじめ・不和」はわずか0.2%で、イメージに反して非常に低い割合だね。[小川、p20]

花子: えっ! 0.2%だけなんですか? それは意外です…

伊勢: そうだろう。「いじめ・不和」は学校での問題だけど、「無気力・不安」や「生活リズムの乱れ、あそび、非行」は家庭で対処すべき問題なんだ。だから、まずは家庭でしっかりした親子関係を築こう、というのが、小川さんの主張するアプローチなんだ。

 そして「しっかりした親子関係」を築くには、親の姿勢が大切だ。子供が求め、必要としているのは、「自分を愛している」というメッセージを伝え続けながらも、社会に出るために必要な厳しさを毅然と教えてくれる、頼れる親の姿なんだ。

花子: 愛情と厳しさの両方が必要なんですね。

伊勢: その通り。だから、Kさんが「お父さんはあなたのことを真剣に考えています。このままでは良くないと思ったので、ルールを決めました」と言った時に、娘さんは何も言わずに涙を流したんだ。自分の求めている親の姿を見たからだろう。ルールを決めるというのは、「社会に出るために必要な厳しさを毅然と教えてくれる」親の姿だからね。

 さらにKさんが、娘さんと「普段こんなに会話していなかったのか」と気がつき、「積極的に娘と話をし、褒めるよう」にしたら、娘さんの表情が次第に明るくなっていった。Kさんが娘さんが必要としている、本当の親の姿に近づいたからだよ。

花子: なるほど! 愛情を伝えながら、きちんとルールも教える。それが子供の求める親の姿なんですね。

■5.親の「愛情」と「承認」が育てる「自信」が必要

伊勢: Kさんが「積極的に話し、褒めるように」した、という点も、しっかりした親子関係を築く鍵なんだ。香川大学で教育学修士となった森田直樹氏も、こう主張している。
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不登校の真の原因は自尊感情の低さによる「自信のなさ」なのです。不登校の「きっかけ」となった「ストレス」を乗り越える自信を失い登校ができなくなっているのです。・・・

不登校の子どもを再登校に導くには、子どもの心のコップを強く大きく育て、自信の水を溜めて自尊感情を高めることが必要なのです。自信の水は親の「愛情」と「承認」から作られます。[森田、p3]
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花子: 心のコップに自信の水を溜める…分かりやすいたとえですね。

伊勢: そうだろう。子供の身体が育つためには、食事からしっかり栄養をとることが不可欠だ。同様に、子供の心が育つためには、親が「愛情」と「承認」をたっぷり与えて、子供の自信を溜めることが大切なんだ。そうして、十分な自信があれば、学校での勉強や友達関係などのストレスを乗り越えられるんだ。それが社会に出てから、仕事や社会のストレスに負けない人間を作る道だ。

 Kさんの娘さんは、父親との会話も少なく、娘さんが必要としていた「愛情」と「承認」の欠乏で、自信がしっかり溜まっていなかった。だから、クラス替えというストレスに負けて、そこから逃げるために不登校になったんだね。

花子: なるほど! だから、お父さんが積極的に話して褒めるようにしたら、自信の水が溜まり始めて、娘さんの表情が明るくなっていったんですね!

■6.「結果や能力を褒める」のではなく「努力や成長を褒める」

伊勢: しかし、褒めるときに注意すべき点がある。「結果や能力を褒める」のではなく「努力や成長を褒める」ことが大切なんだ。

花子: 結果を褒めちゃダメなんですか? テストで良い点を取ったら、褒めて貰いたくなりますけど…

伊勢: アメリカの大学での実験結果もあるけど、子供がテストで良い成績をとったという結果を褒めると、子どもは無意識に「成功することが大切で、失敗するのはダメなことなのだ」と思うようになる。

 また、能力を褒めるのも同じように良くない。「頭がいいね」という褒め方をすると、難しい問題が解けない時に、自分は頭が悪いと思ってしまう。それを避けるために、自分が解けそうなものばかりを選び、難しい問題に挑戦しなくなるんだ。

 一方、努力を褒められた子供は、難問を解けなかった場合、「もっと頑張らなくちゃ」と考え、さらなる成長を目指すんだよ。だから、こんなふうに褒めると良い、と小川さんは指摘してる。

「ここにあなたの頑張りがあらわれているね」
「以前に比べて、これができるようになったよね」

花子: なるほど! 結果じゃなくて、努力と成長の跡を見てあげるんですね。

伊勢: その通り。さらに「どうやって、こんな問題ができるようになったの?」と質問すれば、子供は自分の努力を振り返り、さらなる成長の鍵を自分で掴むことができる。

花子: 質問することで、子供自身に考えさせるんですね!

伊勢: そうだ。これは不登校児童に限らず、普通の家庭でも実践してほしい親子の対話の鍵だね。

花子: 私の父も蕎麦打ちの職人なんで、成績のことは細かくは言いませんが、集中して勉強していると「そのくらい集中しないと勉強でも蕎麦打ちでも、一人前にはなれない」などと褒めてくれます。

■7.共同体の中で「処を得る」

伊勢: さらに、成長とか努力の目標がしっかり意識できると、なお良いと思うんだ。その目標とは、子供たちが自分の家庭やクラスの中で、自分の居場所を見つける、すなわち「処を得る」ことだね。たとえば、家庭では食器の片付けは自分の担当だ、とか、クラスで勉強は苦手でも、運動会ではクラス対抗のリレー選手になる、というようなことだ。

花子: なるほど! 学校や家庭で自分の居場所を見つけるんですね。

伊勢: そうだね。オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラーは子供たちが「共同体感覚」を発達させて、共同体に貢献することが幸せへの道と主張した。人間は共同体の中で生きる存在であり、その中で処を得て、他者のために尽くす存在となることが、人間としての欲求であり、幸せへの道であると考えたんだ。
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JOG(1155) アドラー心理学と「和の国」の子育て
 子供たちが「共同体感覚」を発達させて、共同体に貢献することが幸せへの道、とアドラーは考えた。
https://note.com/jog_jp/n/nda7c7fcd58dd
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 不登校だったKさんの娘さんが再登校したということは、学級という共同体の中で、もう一度、処を求めてやっていこうという挑戦をする勇気を持ったということなんだ。それに成功すれば、自信を得て、将来も社会や仕事の中でのストレスを克服して、自分の人生を切り開いていけるだろう。

花子: そういう子供たちって、きっと逞しくなれますね!

伊勢: そうだ。将来の日本を背負って立つ子供たちこそ「国の宝」であり、そういう宝を育てることが各家庭の責務だ。それぞれの家庭で、しっかりした親子関係を築いて、ストレスなんかに負けない元気な国の宝を育ててほしいと思うね。
(文責 伊勢雅臣)

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