国家を運営するには「お金」「通貨」が必要です。つまり「通貨」は国家統合の為の具体的な「道具」であり「制覇力」でもあります。
しかし「通貨発行権」は国家の運営主体である「政府」にはなく、民間企業である「中央銀行」にあります。国家は国家運営の為に「国債」を発行しますが、これが「国の借金」=「国民の借金」として一般的には捉えられています。
「国家(こっか、英: state)とは、国と同様に、「一定の領土と国民と排他的な統治組織とを供えた政治共同体[1]」や、「一定の領土を基礎にして、固有の統治権によって統治される、継続的な公組織的共同社会[1]」と言える。」
MMTは「国債」は「政府紙幣」と同じであり「国民」は勿論「国家」にも返済義務はない、とする理論です・・・超概略ですが。
本来、このように「国家の運営主体」である「政府」が国家運営のために不可欠な「通貨発行権」を持つことは当然であると思います。
経済は人類特有の活動であり、概念の範疇にあるので、論理整合性があり、可能性があるのであれば、その理論、論理で社会を統合すれば良いはずです。
このような「MMT(Modern Monetary Theory 現代貨幣理論)」の記事紹介です。
長いですが、本質をついていると思います。
- 勘違いしてきた国債のこと
- 国債は同額の国民資産を産んでいる(1)
- 国債は同額の国民資産を産んでいる(2)
- 国債償還はこのように行われている
- 国債発行に係る確認事項
- 国債に係るQ&A
- Q1.1997年から日本の経済は成長できなくなっているが、何が原因か?
- Q2.ここでの書き込みは(1~4の項目)、ММTについての解説なのか?
- Q3.「国債を通貨とみなす」と国の予算財源は税金という考え方のままで良いのか?
- Q4、国債を発行すると金利が上がるのではないか?
- Q5.債務残高がGDPの2倍超になっている。 国債発行はできないのではないか?
- Q6.国債が多量に発行されると暴落して買い手がいなくなるのではないか?
- Q7.アベノミクスでお金をジャブジャブにしたのに経済成長できなかったではないか?
- Q8.国債発行を続けるとギリシャのように財政破綻するのではないか?
- Q9.国債発行するとインフレになるのではないか?
- Q10.国債発行が多くなると終戦時のように高インフレになり国債の紙屑化、銀行封鎖が起こるのではないか?
- Q11.日銀が国債を多量に保有していたり、日銀当座預金が膨張しているので債務超過で日銀が破綻するのではないか?
- Q12.日本は債務残高が多いので、これ以上国債が発行されると通貨(円)が信認を失い為替相場で円が暴落するのではないか?
- Q13.国債について正しい理解のもと、どのような政策があるのか?
- Q14.少子化が進んでいることから経済は成長しないのでは?
- 国債についての総まとめ
勘違いしてきた国債のこと
はじめに
私は、2年前から以下の二点から財政論に興味を持ちました。
一つ目は、「れいわ新選組」の山本代表が街宣で使用していたこのグラフです。
(下の赤ラインは政府による財政支出、上の青ラインは国民の資産の増減を表しています)
このグラフは、下の政府支出が多くなると(債務が多くなり下方に向かう)、それに反比例するように上の国民資産が同額多くなっていくというものです。・・・今までの解釈では、「政府の債務が増えていくと国民の借金(債務)も増えていく」というものでしたので、真逆な解釈だったのです。
二つ目は、「奇跡の経済教室」(中野剛志著)に出会ったことです。
とりわけ国債についての認識が今までとは真逆なものでした。
動画で本書の一部について解説があります→「奇跡の経済教室」
そこで、私自身のみならず国全体として何か大きな勘違いをしてきたのではないか、と思い始めました。
そして、次第に分かってきたことは・・・
国債についての勘違い
財務省、学校教育(教科書の執筆者)、マスコミ、経済学者、評論家、政治家等によって「国債は借金、借金は将来のツケ、ツケは税金で返済しなければならない」と教えられてきたことに起因して、国全体の方向がおかしなものになってきたのではないかと確信するようになりました。
勘違いが経済・財政政策を誤らせてきた
その結果として、間違った財政政策が採用され、「プライマリーバランスを図れ、財政支出を減らせ、財政再建には消費増税だ」となって、日本経済を衰退させるとともに国民は大きな負担を強いられることになったのではないかと・・・いわゆる、世界でも例のない「失われた25年、30年」ですね。
参考→9.失われた25年 1997年の衝撃 日本の25年間はゼロ成長・脱成長だった
以上のような次第で、その根本的な誤りの元凶になってきた「国債の発行と償還の仕組み」に絞って、実際に行われているオペレーションを探ってみました。
尚、当ブログ内容を理解して頂くためにも、手始めに貨幣の信用創造についてご理解頂ければ幸いです。→信用創造について
国債は同額の国民資産を産んでいる(1)
我々は、国債について次のように言われてきました。
「国債はお金持ち(銀行預金や企業の内部留保)からお金を借りて購入している。
このような著名人から聞かされていました>
このような著名人からです→7.国債購入は国民預金で買っていると主張する著名人
彼らの共通な主張は・・・
①「高齢化社会を迎えて貯蓄が減るなかで、新たな国債を購入することが困難になり、いずれ財政破綻する
②その借金が1000兆円を越えてしまった。
③次世代がこの借金を返済していかなくてはならない。
④増税と緊縮で財政健全化を図るべきである。
しかし、これらは財務省の恣意的なプロパガンダであることが分かってきました。
(以下の内容は、財務省が最も嫌がることだそうです)
(1)国債の売買は、日銀内に設けられた日銀当座預金で行われていました。
実体経済のなかの国民預金や企業の内部留保は一切使用されていませんでした。
その日銀当座預金口座を持てるのは金融機関のみです。・・・一部国民が国債を保有していますが、これは金融機関が商品として販売したもので、国民が直接的に政府から購入したものではありません。
この日銀当座預金は、実体経済にある銀行預金とは全く別のお金であり相互に融通し合えるものではありません。
下図・・・右側の②が日銀当座預金、左の①は実体経済の中の銀行預金
両者の間には越えられない壁があります。
※民間銀行が緊急に現金(紙幣、硬貨)が必要になった時とか、銀行間のやり取りをする時に使用できる程度で、実体経済の中で貸出資金として使用できるお金ではありません。
(2)国債購入の原資としての日銀当座預金は、元々は日銀が供給したものでした
国民のお金を集めたものではありません。99%の人達がこの点を誤解して、国民預金から国債を買っていると考えています)
①この点は国債を理解するうえで最重要なところですので、税理士さんの解説を視聴して下さい。この内容が確認できれば、国債の本質がほぼ理解できたことになります。
特に、動画の12分~が重要なポイントになります。
2002年に日銀が原資を民間銀行に供給するための要綱が創られたことが説明されています。解説動画→
②黒田日銀総裁も「国債は日銀当座預金で買っている」ことを国会質疑の中で認めています。
0:00〜1:20
以下、文字起こし
質問・・西田昌司議員
「政府が国債を発行する時、民間の日銀当座預金が減って、その分 政府の日銀当座預金が増える、このように認識していますがどうですか?」
答弁・・黒田日銀総裁
「新規国債発行時点において民間金融機関の日銀当座預金が減り政府の日銀当座預金が増えます」
(引用終わり)
つまり、政府が必要とする資金を、政府の子会社である日本銀行が「国債を買ってね」と民間金融機関に供給していたのです。
(民間金融機関は、国債を担保にして日銀からの提供を受けますが、最終的にはこの資金は日銀に返済され、民間銀行は国債そのもののを保有するような仕組みになっています)。
つまり、国債は誰かからの借金で買われているのではないということです。
(3)上記のことに基づき、国債発行により国民資産が増えるまでのお金の流れをみてみます。
とてもシンプルなことですので最後までお付き合いください。
①政府がコロナ専門病院を某市に60億円かけて建設しようと計画したとします。
②政府はお金を確保するために60億円の国債を発行し日銀ネットで入札にかけます。入札は予算に基づいて計画的に行われます。
この財務省の入札計画をご覧ください→入札カレンダー
※余談ですが・・・
財務省は、4月1日の年度当初から国債や短期証券等を発行・入札を行い資金を確保しています。税金を確保しなくても必要なお金を確保しているのです。
国債等の発行によりお金を確保→職員への給与支払い、必要な事業に支出→税金で回収という流れになります。
税収があって支出ということではありません。これが国家財政が地方自治体とは異なるところです。
③、②の国債をY銀行が落札して、60億円がY銀行の日銀当座預金から政府の日銀当座預金口座に振り込まれます。
ここで政府に渡るお金が生まれました。
④政府は・・・国立コロナ病院を建設してくれたA建設に60億円の小切手を渡します。
⑤A建設は小切手を地元の民間銀行に持ち込みます。
⑥地元の銀行は、小切手に記載されている60億円をA建設の通帳に記帳します。
→この時点で、実体経済のなかにお金が新たに生まれたことになります。
→A建設は、そのお金で従業員の給料や材料費等の経費を支払います。
多くの人達にお金が回ることになります。
同時に国立コロナ病院も新たに誕生したことになります。
⑦A建設に60億円を振り込んだ地元銀行は、小切手を日銀に持ち込みます。
⑧日銀から通知を受けた政府は、当該銀行の日銀当座預金口座に60億円を振込みます。
→これで地元銀行がA建設に振り出した60億円分は相殺されます。
(日銀当座預金の総額は変化しなかったことになります)
→戻された日銀当座預金は新たな国債購入資金として使用されます。
⑨Y銀行が所有する国債の償還は、満期がきたら新たに借換債に引き継がれ最後は日銀に買い取られたり、60年満期がきたら消滅することになります。
尚、償還については、ここを参照して下さい→「3.国債償還はこのように行われている」へ
・・・・国債の償還においても国民の負担は全く不要ということが理解できると思います。
この頁(1.国債は国民資産を増やしている).と上記の(3.償還について)から、言えることは、「国債は誰かからの借金ではなく、償還においても税金が充当される必要がない」、ということです。
誤解をー恐れずに言えば、国債というのは、「国民生活のなかにお金を供給するためのツール」のようなものと言えます。あるいは、国債=通貨ともいえるのではないでしょうか?
その橋渡しをしている民間金融機関にとっては、国債とは利子付きの定期預金のようなものです。
そうであるならば、無制限に国債の発行ができるのかと言うとそうではありません。国債発行限度額はインフレ率に制約されることになります。
そのインフレ率をめぐる見解ですが・・・
①政府・・・インフレ率2%が目標
②自民党・西田議員・・・4%~5%であれば可
④れいわ・山本代表・・瞬間的に10%の時があっても5年程度の平均2%~3%なら可
その財政規模としては・・・
どの程度の財政支出でインフレ2%程度になるのかということになりますが、次のような試算があります。
→参議院情報室のシュミレーション・・・・「れいわ新選組」からの依頼で国民一律に月10万円、4年間給付した場合、144兆円の国債発行になりますが2%に届かないとされています。(下表)
これは、 コロナ前での試算ですので、需要が落ち込んだ現在では150兆円~200兆円規模の財政支出が可能との意見もあります。
いずれにしても、社会保障であれ、インフラ整備であれ、必要な財源は国債発行によって十分に確保することができるのではないかということにもなります。
また、最近になり、「税は財源ではない」との主張が散見されるようになりましたが、このような国債についての認識からくるものと思われます。ただし、そのような主張であっても税は景気調整(インフレ調整)と格差是正のためには不可欠とされています。
以上が、国債発行に伴い国民資産(預貯金、現金)が産み出されるプロセスについての概要になります。
国債は同額の国民資産を産んでいる(2)
財務省が最も嫌がることは、「国債が発行されると同額の国民資産(預貯金)が産まれている」ということが広く国民に理解されていくことです。
この内容です→「1.国債は同額の資産を産んでいる(1)」
一方で、「国債=国民資産の創造」のことを周囲の人に話したりすると、多くは反発を受けるのも現実問題としてあります。
「お前、新興宗教に憑りつかれたのか?」というような顔つきをされたりします。また、「何をバカなことを言っているのだ」と相手にされません。
・・・まあ 今まで「国債は国民の借金、国民のツケ」、「国債発行を増やすと国は亡びる」と教えられきたのですからやむを得ません。
そこで、別の角度から国債の必要性について述べてみたいと思います。
以下の内容は、大雑把な単純計算です。
(1)通貨の量について
まずは、我が国のなかでお金がどの程度出回っているかを確認しておきたいと思います。
お金(通貨)には、現金(日銀券と硬貨)と預金があります。
そして、その現金(紙幣と硬貨)は現在約120兆円が発行され、実体経済と日銀当座預金口座にあります。仮に、この現金が実体経済の中に全額あるとすれば、一人当たり約100万円になります。
もう一方の預貯金は、実体経済の中に総額1527.4兆円(現金も含む)があり、一人当たり約1273万円になります。・・・それは現金の13倍にもなります(2021年11月の時点)。これはマネーストックМ3と言われています。
これは日銀資料で確認することができます→日本銀行統計資料
どうして、このようなことになっているかと言うと、実体経済の中に日銀券や硬貨以外に「預金」という通貨を新たに産み出す仕組みがあるからです。尚、この預金というのは、通帳にコンピューターによって打ち込まれた記録にすぎません。むろん、現金とも交換できることは言うまでもありません。
(2)通貨を新たに産み出す3つの機関
それは、以下の3つの組織によってお金が創られているのです。その3つとは、①民間銀行、②日本銀行、③政府です。
①の民間銀行は、国民や企業から借入の申し入れがあると、その人に返済能力があると判断されれば、その預金通帳にバソコンのキーボードで金額を記帳するだけでお金が増やされています。(預かったお金を又貸ししているのではありません)・・・これは信用創造と言われています。
②の日本銀行は、日銀当座預金にお金を供給してお金を増やしています。・・・これは国債購入資金になっています。
③の目の政府は、国債や短期証券を発行して実体経済の中にお金を増やしています。
国債については、「1.国債は同額の国民資産を産んでいる(1)」でみた通りです。
その政府ですが、現在までに1019兆円の債務残高があると報じられてています。債務残高があるということは、それと同額が実体経済の中にお金を産んでいたと言うことでもあります。
これは、一人当たり約850万円になります。
マスコミでは、「一人当たり850万円の借金」と報道していますが、実は逆で「一人当たりの資産として850万円を産んでいた」ということです。・・・むろん、この資産は偏在していますが、それは富の分配政策に問題があるということになります。
すると、マネーストックМ3の1527.4兆円のなかに国債発行分の1019兆円が含まれていることになります。実に、マネーストック全体の66.7%を占めていることになります。
もう少し正確に言うと、現金120兆円を除く1407兆円の中に国債発行分1019兆円が含まれているということになりますので、国債発行分がマネーストツクのなかで70%近くを占めることになります。
残りの約388 兆円(1527兆円-120兆円-1019兆円=3888兆円)は、民間銀行が産み出したお金と現金等の合計額ということでしょうか(単純な計算です)
(3)国民が有する預金の大部分は国債が産み出した通貨
つまり、国民が保有する資産(預貯金、現金)の多くの部分は国債に依存しているとも言えます。
国債そのものを認めたくないと言っても、自分の資産も国債によって増やされてきた事実があります。・・・2020年度の10万円一律給付で12兆円の国債が発行されましたが、国民の資産として加算されていることは言うまでもありません。
ちなみに、2020年度は国債が約109兆円発行されましたが、マネーストックも約100兆円増えています。
マネーストックМ3の推移
2020年3月 1375兆円
2021年3月 1485兆円 110兆円増えています。
どうしても国債の役割を容認したくないと考えるのであれば、(そのような方は)貯蓄なしの世帯が増えていますので、是非そちらに自分の貯蓄から分けてやってください。(これも所得の再分配になります)
・・・それは決して暴論ではなく、自分が貯えた預貯金の元を辿っていけば、国債による資金供給に大きく依存していることが確認できると思います。
(4)国債償還を国民が負担すると国民が貧しくなっていく
また、なかには「国債は借金なので、返済しなくてはならない」という主張もあります。
しかし、政府が債務残高を減らそうとして、国民から税金としてお金を集めて返済していくと国民の資産が減っていくことになります。
政府が黒字を増やしていくと、国民は赤字になっていきます。
1019兆円の債務残高を、マネーストック1527.4兆円から回収していくことになりますので、単純に考えれば国民の預貯金が66.7%消滅していくことになります(あくまでも現時点での計算上のことです)。
過去の歴史をみますと、実際にそのように政府債務を減らそうとした政権もあります。国民からお金を取り立てる訳ですから、結果として国民が貧しくなって需要が減り、恐慌が引き起こされています。
下表をご覧ください。
わが国でもリベラル派と称される政党の支持者グループが、1000兆円の債務残高を100年かけて返済する政策集を公表しています。・・・国債償還を国民の負担によって行うという選択は絶対に避けなければいけません。
この表の右端にあります。
いずれにしても、変動相場制を採用し、自国通貨建て国債を発行できる国にあっては(通貨発行権がありますので)財政破綻することはありません。
・・・このことは、財務省自身がホームページで述べています。
加えて、そもそも国債は誰かからの借金ではありませんので、国民が返済しなくても何も問題ないのです。
国債償還はこのように行われている
国債発行の仕組みは理解が広がってきましたが、国債の償還については今一つ分かりにくいところもあって共通認識になっていません。
そこで、専門家のブログ等から大まかにまとめてみました。
(1)60年ルール
我が国には国債償還は60年かけて行うという60年ルールというものがあります。・・・国債には建設国債と特例国債がありますが、どちらも60年ルールが適用されています。
例えば、額面60億円の国債とすると、これを60年かけて償還していこうとするものです。具体的には、60億円償還を60年かけるので、1年あたり1億円づつ償還していくことになります。
尚、60年というのは、建設国債によって造られる建設物等が60年間の有効利用年数があるというところからきていると言われています。これが特例国債にも適用されています。
以下は、実際に我が国で行われているオペレーションです。
(2)満期を迎える国債→残額は借換債に受け継がれる
それでは、順をおってみたいと思いますが、その前に借換債(かりかえさい)についての基本的な概要をマンガで簡単にご確認ください。
借換債について→将来世代への負担?国債って?
尚、以下に述べる国債及び借換債の売買は、国債購入時と同じように全て日銀当座預金を使って行われています。・・・実体経済のなかの国民金融資産は使われていません。
また、政府が新規事業のために国債を発行した時のみ、実体経済に同額のお金が回りますが、借換債発行によってお金は実体経済には回りません。日銀当座預金が行き来するだけです。
それでは、Y銀行が10年満期、額面60億円の国債を保有しているという場合の償還例とします。
①満期の10年目になると、国債整理基金(特別会計)に繰り入れられ、一般会計からの新規国債発行によって得られた資金で10億円(1億円 ✖ 10年分)が償還されます。
下グラフは2020年度予算の歳入(右グラフ)を表しています。
このなかで、公債金32.6兆円とありますが、このなかに満期を迎えた国債の元本償還費(左グラフの14.6兆円)と利払費(8.8兆円)が含まれています。
尚、利払費とは満期前の国債のみならず、借換債の利払費も含まれます。
国債の元本償還と利払費を新たな国債発行で賄うというのは家計では考えられないことですが、通貨発行権を有する国家財政においては何も問題は起こりません。海外諸国では、利払いをするだけで元本の償還はしていません。
②もともとは60億円の国債でしたから、まだ50億円分が残っています。
その50億円分は国債整理基金特別会計の中で新たに国債借換債が発行され、そこで50億円が調達されY銀行に償還されます。
参考・・・国債整理基金特別会計(2021年度)
これで、Y銀行は、①の10億円と②の50億円で元本の返済を受けたことになります。
③次に、②で新たに発行された50億円億分の借換債の償還が求められることになりますが、これは50年間の年限内で償還すれば良いことになります。
例えば、ここでも10年満期として、額面50億円の借換債による償還を選んだとします。・・・10年後にその借換債が満期を迎えることになります。
④③の借換債が10年満期を迎えますと、元本10億円は一般会計からの新規国債発行によって得られた資金が国債整理基金特別会計に繰り入れられ償還されることになります。
⑤④で10億円が償還されましたので、残金は40億円になります。そこで、国債整理基金特別会計で新たに40億円の借換債が発行されます。
→そして、10年経ると満期を迎え④を繰り返すことになります。
→これが5回繰り返されることで額面60億円の国債償還は完了することになります。
①~⑤までの流れは下図のようになります。(図は600億円の国債になっています)
ちなみに、国債の満期までの期間や借換債に発生する利払いは、元本の償還と同じように、(上述のように」一般会計のなかで新たな国債発行によって得られた資金が国債整理基金特別会計に繰り入れられ充当されます。・・・国は永続していくものですのでこれを繰り返していけば良いことになります。
※新規国債と借換債は、入札時に購入希望の金融機関には見分けがつかないそうです。
いずれににしても国民から見ると何か複雑なオペレーションのような感じがしますが、資金の移動や金額等の調整は全てパソコンによるデータのやり取りで行われています。
(3)諸外国は利払いだけで元本の返済はしていない
下図の右側が日本の当初予算の歳出グラフですが、元本償還費と利払費が含まれていることに注目してください。
これは歳入面で新たに発行された国債費から充当されているものですが、左の米国や英国の場合は、利払費のみで元本返済分は予算にはありません。
日本だけが元本返済分を一般予算のなかに組み入れ、国債の償還費をことさら大きくみせようとしています。
下表は財務省作成による各国の国債償還計画です。
第36回 (平成27年4月17日)議事要旨資料4-2(PDF)の1頁目にあるものです。
朱色書き込み表をSNS上から借用しました。
日本以外の国は、借換債の発行もしていません。元本の償還などしていないのです。
下表は、tasanさん作成のものを拝借しました。
諸外国が元本の償還していないことは奇異に思われるかも知れませんが、一般の会計処理にでも行われているようです。→国債の元本は返さなくても良い
以上のような国債償還の流れは、あくまでも民間金融機関が介在し、日銀当座預金を使用して行なわれているオペレーションの説明です。
尚、留意しておかなくてはならないことは・・・国債の元本償還や利払いを国民からの税によって賄おうとする意見があります。そのようなことをしたら、国民金融資産(預貯金)が減っていき、国民が貧しくなって恐慌が引き起こされてしまいます。
→国債発行は国民資産を産んでいる(2)」の(4)を参照して下さい。
一方で、現状では、下グラフのように日本銀行が国債の48%を保有しています。
日本銀行は、政府の子会社です(資本金55%を政府が出資)。・・・よって、子会社が親会社である政府に償還を迫ることもないことから(しかも日銀は通貨発行権もある)、実質的には日銀保有の国債分については償還が終わっていると考えられています。
結果として、我が国には財政問題は存在しない、との意見もあります。
※尚、日銀が民間金融機関の有する国債(借換債を含む)を買い受けする場合、その代金は民間金融機関の日銀当座預金に移るだけで、実体経済にお金が回らないことからインフレ要因にはなりません。
最後に、「奇跡の経済教室」の著者である中野剛志氏の見解を紹介させてもらいます。
以下は、ここよりの引用です→「国債は次世代へのツケ」が嘘である理由」
引用・・・
「国債の償還財源は、将来世代の税金でまかなわれなければならない」という間違った発想をしているから、そういう話になるんです。
だって、自国通貨を発行できる政府は永遠にデフォルトしないのだから、債務を完全に返済し切る必要などありませんからね。
つまり、国債の償還の財源は税である必要はなく、国債の償還期限がきたら、新規に国債を発行して、それで同額の国債の償還を行う「借り換え」を永久に続ければいいのです。
実際、それは先進国が普通にやっていることです。だから、英米仏などほとんどの先進国において、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めていません。」
「政府債務は完済しなくてもいいのだから、英米仏のやり方が理にかなっていると思いますけどね</u>。ともあれ、国債の償還は必ずしも税金でまかなう必要はなく、新規国債で「借り換え」を続ければいいのですから、国債を発行しても将来世代にツケを残すことにはなりません。
・・・この「事実」を知らずに、消費税増税にコロナウイルスが重なって、「恐慌」すらも 起こりうる状況下で、国債発行による財政出動を躊躇するようなことがあれば、国民は”どん底”に叩き落とされるかもしれないと心配しています。 」
(引用終わり)
ここでご確認頂きたいことは・・・>国債償還は元本も利払も国債(借換債を含む)で充当されており税金が使われていることはない」ということです。
国債発行に係る確認事項
当ブログの「国債は同額の国民資産を産んできた(1)(2)」及び「国債償還はこのように行われている」の内容をまとめると以下のようなものになるかと思います。
1.国債発行に係わり実際に行われていること
実体経済と日銀内の日銀当座預金の間には「越えられない壁」がありますので、下図をみながらの説明になります。
(1)国債購入は国民金融資産(上図①)からではなく日銀当座預金(上図②)が使用される。・・・元々の原資は日銀が供給したもの(国民からの借金ではない)
①税理士による解説→国民預金で国債を買えるか。簿記で検証してみた
・国民預金で国債を買うことは会計処理上できない
・2000年 日銀が「日中当座貸越基本要領」作成し資金供給の円滑化を図った
②黒田日銀総裁の答弁
参院財政金融委員会 2019年5月9日
西田議員・・・「政府が国債を発行する時、民間の日銀当座預金が減って、その分政府の日銀当座預金が増える、このように認識していますがどうですか?」
黒田日銀総裁・・・「新規国債発行時点において民間金融機関の日銀当座預金が減り政府の日銀当座預金が増えます」
(ア)新規国債が発行される時、民間金融機関が日銀当座預金で国債を買い、支払われたお金が政府に渡り政府は実体経済(①)にお金を回す→国債発行は同額の国民資産を増やしている
(イ)日銀の買いオペレーションで民間金融機関が有する国債(既発国債)を日銀が買うことで、②の口座に資金が回り、それが再び新発国債購入資金となる。
→当該②の資金は左側の実体経済には流れない。
(アベノミクスでは、この資金が左①の実体経済に回ると勘違いしていた)
日銀が民間銀行から国債を買ってもインフレ要因にはならない。インフレは、①の実体経済のなかでの需要と供給の関係で決まってくる。(デマンドブルインフレの場合)
尚、好況時に①の実体経済に資金需要が大きくなると、②の日銀当座預金から資金が流れるとの解釈があるが、民間銀行は信用創造によってお金の調達ができるので、日銀当座預金を引き出す必要がない。
(2)上記(ア)の場合、新規事業で国債発行されると同額が左側の国民資産を増やす
→国債発行は同額の国民資産を増やしている
(3)国債償還は借換債を繰り返していくことで最後は消滅する(日銀が買い取る場合も実質的に消滅する)
→諸外国では、財政赤字状態ならば借換債の発行さえしなくて良いことになっている(いずれも将来世代のツケにはならない)
(4)中央銀行②も民間銀行①も(今あるお金を又貸しするのではなく)信用に基づき、借り手の預金口座に金額をキーボードで記入することで通貨を産み出している。
→借り手がないと通貨は増えない。
2、上記の(1)~(4)から導かれること
(5)債務残高1000兆円とは、単に過去の国債発行額の累計を表すとともに、国民資産を増やしてきた記録にすぎない過ぎない。
→お金持ちほど国債の恩恵をうけている
(6)よって、債務残額/GDPが何%になろうと問題は起きない
→世界の潮流は、下表のように金利より成長率が高ければ財政支出が可能とする意見が主流になってきた。
(我が国は最も財政支出が可能とされている)
下記の表・・・左・ 債務残高/GDP 右・利払い費/GDP 日本は赤色
右の表のように、世界各国と比べても利払い費比がGDPに比べて最も低いので、財政支出が最もできる国とされている。
ちなみに、国債利率は各国とも中央銀行がコントロールできる状態になっている。
(7)変動相場制を採用し自国通貨建て国債の発行できる国においてはデフォルト(財政破綻)は起き得ない。→ 財務省のホームページ
(8)政府にとって子会社である日銀が保有する国債は、実質的に返済は不要となる(また、政府が支払う国債の利払金は日銀にも支払われるが、決算時に政府に戻される)
→現在、日銀が国債発行額の50%近くを保有しているので我が国には財政問題は存在しない。
(9)当該年度における国債発行額はインフレ率によって制約を受ける。
インフレ率についての見解は・・・
①政府2%
②自民党・西田議員 4%~5%
③「れいわ」山本代表 5年平均で2%~3%
(10)国債償還について
「国債は次世代へのツケ」がウソである理由より抜粋
・・・「国債の償還財源は、将来世代の税金でまかなわれなければならない」という間違った発想をしているから、そういう話になるんです。だって、自国通貨を発行できる政府は永遠にデフォルトしないのだから、債務を完全に返済し切る必要などありませんからね。
つまり、国債の償還の財源は税である必要はなく、国債の償還期限がきたら、新規に国債を発行して、それで同額の国債の償還を行う「借り換え」を永久に続ければいいのです。実際、それは先進国が普通にやっていることです。だから、英米仏などほとんどの先進国において、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めていません。・・・
(11)最後に国債についてのウィキペディアの記載を抜粋。
「日本国債」→発行と流通のしくみ
・・・銀行は集めた民間預金を元手に国債を購入しているわけではなく、日銀が供給した日銀当座預金を通じて、国債を購入しているため、銀行の国債購入は、民間預金の制約を一切受けず、銀行が国債を購入して政府が支出する場合、銀行の日銀当座預金の総額は変わらない。
また、政府が国債を発行して、財政支出を行った結果、その支出額と同額の民間預金が新たに生まれる。つまり、政府の赤字財政支出は、民間預金を減らすのではなく、逆に増やすことになる。それゆえ、財政赤字の増大によって民間資金が不足し、金利が上昇するなどということは起き得ない
国債に係るQ&A
国債に係り、1~4をご覧頂いて寄せられたご意見及び予想される疑問点についてまとめてみました。
Q1.1997年から日本の経済は成長できなくなっているが、何が原因か?
A..日本は、長い間デフレ状態でした。デフレの時は、下表の左側の政策をとらなくてはならなかったのに、右側のインフレ時の経済政策を採用してしまったのです。デフレの時に真逆なインフレ対応策をとっていては、一層経済は落ち込むしかなかったのです。
どうして、小学生でもわかるような間違いをしたかというと・・・ひとえに「我が国の財政は破綻状態」(1995年の政府見解)と勘違いしてしまったからです。
Q2.ここでの書き込みは(1~4の項目)、ММTについての解説なのか?
A.ММTは完全雇用をめざす就業プログラムという考え方があるかと思いますが、ここではあくまでも国債に絞ってまとめてあります。
今まで、国債は「借金」と言われてきましたが、実際は「国債=通貨供給」とみなすことができるのではないかと考えています。
インフレ率に注意していけば、弱者や労働者の生活の底上げができたり、社会保障充実やインフラ整備、気候変動対策にも思い切った政策が今すぐにでもできます。・・・しかも、この財源論は政治的には中立です。
与野党問わず、政治家が決断さえすれば直ちに取り組めます。むろん、その場合の国費投入先は国民生活優先であることは言うまでもありません。
尚、税金はインフレ調整と格差是正が主な目的になるかと思います。
Q3.「国債を通貨とみなす」と国の予算財源は税金という考え方のままで良いのか?
A.会計年度も毎年4月1日から始まります。しかし、4月には国には税金は一銭も入っていません。
しかし、国政は4月1日から動いています。国家公務員にも給与は支給しなくてはなりません。どうして必要な経費が手元にないと行政は困ることになります。
そこで、財務省は4月1日から国債や短期証券(1年満期)をドンドン発行して資金を確保することになります。
ここをご覧ください。→国債・国庫短期証券の入札カレンダー
金融機関に国債や短期証券を買ってもらっているのです。(この資金は日銀当座預金になりますね)・・・ただし、短期証券については日本銀行が直受けすることもできるようになっています。
いずれににしても・・・政府は、国会で承認を得た予算に基づき国債や短期証券を発行し(入札を経て)、必要な資金を確実に確保しているのです。
そして、それらの資金は必要なところにまず支出されることになります(スペンディングファースト)。
そして、それよりも時間的には遅れてから所得税、法人税、消費税等として、いくらかは国家に戻ってくることになります。
ここで問題となるのは、その徴収額(税額)がいくらになるか年度末にならないと分からないということです。しかし、予算は決まった通りに執行されなくてはなりません。
このようなことから、予算は予算、税収は税収ということで(税収をみながらと言うよりは)必要な予算額は国債及び短期証券によつて財源として確保されているということになります。・・・このことから、「税は財源ではない」と言われる所以です。
尚、税は景気調整(インフレ調整)と格差是正という目的があることを忘れてはならないと思います(無税国家ではない)。
そのような意味からみると、デフレ状態の時に、消費増税は間違いだった、ということになりますね。
Q4、国債を発行すると金利が上がるのではないか?
A、国債発行すると国民預金が使われて実体経済の中のお金が減っていって、(お金に価値がでてきて)金利が上がると考えられてきましたが、下グラフのように実際は国債発行で実体経済の中にお金が増やされていますので逆に金利が下がっています。
Q5.債務残高がGDPの2倍超になっている。 国債発行はできないのではないか?
A、そもそも債務残高とは過去数十年にわたり実体経済にお金を回してきた記録に過ぎません。比較すること自体が無意味です。
国際的な金融当局の間では、「国債の金利と成長率(伸び率)の比較」によって国債発行額は決められるべき、とする考えが潮流になっています。そのような意味から日本は財政支出が最も可能な国と言われています。
この2の(6)の表を参照して下さい→4.国債発行に係る確認事項
Q6.国債が多量に発行されると暴落して買い手がいなくなるのではないか?
A.日本国債は元本保証されていますので、仮に暴落(金利が上がる)すれば、買い手が殺到します。
また、国債購入は日銀当座預金が元手になっており、購入資金が枯渇するということはあり得ません(2022年1月現在で約500兆円あります)
Q7.アベノミクスでお金をジャブジャブにしたのに経済成長できなかったではないか?
A.アベノミクスは金融政策においては緩和策がとられたものの、実体経済にお金を回す財政政策はドケチ財政(民主党政権よりも毎年約11兆円ほど少なかった=コロナ過は除く)でした。・・・日銀当座預金は膨れ上がりましたが、そのお金が実体経済に回ると経済学者や政治家達が錯覚してしまったのです。
尚、財政支出の伸び率が大きいとGDP伸び率も大きくなる(相関関係があります)ことは、世界の統計からも判明しています。
下グラフ(横軸は財政支出の伸び率、縦軸はGDPの伸び率)
Q8.国債発行を続けるとギリシャのように財政破綻するのではないか?
A.日本は「変動相場制採用し自国通貨建て(円建て)国債を発行している」ので財務省HPにあるように「財政破綻することはありません。・・・ギリシャはEU参加国で使用通貨ユーロを自国で発行できずに債務不履行に陥ってしまいました。
Q9.国債発行するとインフレになるのではないか?
A.インフレには、輸入品(石油、食品)等の値上がりによるインフレ(コストプッシュインフレ)と、需要が供給を上回るようになると起こってくるインフレ(デマンドプルインフレ)があります。
国債発行によって経済成長(マイルドな経済成長は2%~4%の伸び率)を図ることで、インフレ(デマンドプルイカフレ)が起こることはむしろ歓迎すべきことです。
そのインフレ率については、許容範囲は2%~5%等が言われています。また、それは瞬間的な値であっても即座に対応すべきか、5年程度の平均として対応すべきかの議論があります。
高インフレになれば、金融政策として金利を上げるとか、財政政策では財政支出の抑制、税金を上げたりすることになります。・・・また、社会保険料を高めに徴収して、インフレが収束したら、その徴収分を年金等として還元すれば良いと言う意見もあります。
いずれにしても、デフレ対策よりも、インフレ対策はいくつかの選択肢があるとされています。
Q10.国債発行が多くなると終戦時のように高インフレになり国債の紙屑化、銀行封鎖が起こるのではないか?
A.敗戦直後は供給体制が壊滅状態になっていました。そこに出回るお金が増えると(需要が増える)、供給側とのアンバランスが大きくなりインフレが加速してしまいます。それを防ぐために、国債の現金化を抑制するとともに銀行封鎖(生活資金は引き出しができた)、新円発行で国民がお金を使えないようにしました。・・・しかし、進駐軍のために、各施設等の整備・充実の為に国家予算の3分の一が使われることになり、インフレが引き起こされたとされています。
Q11.日銀が国債を多量に保有していたり、日銀当座預金が膨張しているので債務超過で日銀が破綻するのではないか?
A.日銀は政府の子会社です。その日銀が全国債の50%近くを保有していますが、子会社が親会社の債務償還を求めることはありません。実質的に国債償還は終 わっているとも考えられます。・・・結果として日本は健全財政とも言える状態です。
また、日銀当座預金が500兆円近くありますが200兆円分については固定利払い率は0.1%で2000億円程度の利払い。残りの大部分は利子が0%、僅かな当座預金額にマイナス金利が適用されています。
利払いを続けても日銀資産からみて150年間は問題はないとされています。
下グラフで3層構造になっていることに注目して下さい。
日銀当座預金500兆円の全額に利払いが発生する、と考えるのは間違いです。
Q12.日本は債務残高が多いので、これ以上国債が発行されると通貨(円)が信認を失い為替相場で円が暴落するのではないか?
A.為替相場は原則的に金利差で動くものです。例えば、コロナ対策で米国は巨額の財政支出し経済回復が急速に進み、金利アップ気味になってきました。その為に金融市場ではドルを求め円を売る(ドル高円安)状況になっています(2022年1月現在)。日本も経済成長を図り、インフレ気味になってきたら金利を上げれば円が買われるようになってきます。→残念ながら日本の経済政策は経済成長は望めないような政策ばかりです。
尚、国際社会が非常事態に見舞われると円が買われる傾向があります。・・・円も日本国債も市場では信認を得ていますので暴落と言うこと自体は考えられません。 ちなみに、今日では世界の中央銀行は金利をコントロールできています。
Q13.国債について正しい理解のもと、どのような政策があるのか?
A.欧米ではグリーンニューディール政策が提起されています。
→「10.反緊縮グリーンニューディール政策とは何か」へ
わが国でも、完全雇用の実現と気候変動対策とを同時に取り組もうとする公約を掲げる政党も現れるようになりました。
国債について実際に行われている発行と償還の仕組みが理解されば、与野党を問わず国民生活を底上げしていくことが今すぐにでもできるということをご理解頂ければ幸いです。
→ドイツ・緑の党のグリーンニューディールも参考にして下さい。
Q14.少子化が進んでいることから経済は成長しないのでは?
A.緊縮論を主張する人達から聞かれる主張です。
彼らの基本的な考え方は、財政出動を忌避するところにあります。
下記のグラフをご覧ください。(グラフは関学大 朴教授作成)
上グラフの横軸は人口増加率、縦軸はGDPの伸び率を示しています。
人口増加の伸び率が低くてもGDPがしっかり伸びていることが分かります。人口減少と経済成長は相関関係がありません。
相関関係があるのは、Q7のように、財政支出とGDPの伸び率です。
国債についての総まとめ
要点のまとめ
①お金には現金(紙幣、硬貨)と預金があるが、預金は民間銀行、日本銀行、政府によって新たに産み出されている(通貨の信用創造)
②国債購入資金は日銀当座預金だった。その預金は日本銀行の信用創造で産み出したお金だった。
③政府は、新たに事業(公共事業、社会保障、現金給付・・・)を行う場合に、国債を発行して資金を確保し、それを実体経済に回して国民の資産を増やしていた。
(その資産が現状は偏在しているが、これは分配政策が失敗している)
④国債の償還は、60年ルールに従って満期がきた元金は新たな国債発行、残額分は借換債を繰り返して最後は日銀保有により消滅させる仕組みになっていた。
借換債も国債と同じように、民間金融機関は日銀当座預金で買っていた。
国民の負担は不要であり、税金で返済しようとすると国民の資産が減って貧しくなっていく。
政府の黒字は国民の赤字、となる。
→政府が赤字状態こそが、国民を黒字にしていることになり、これが正常のあり方と言える。
海外諸国は、元本の返済さえしていない。(利払いだけしていた)
そもそも通貨発行権がある国家財政においては元本返済する必要はない。
(家計や企業及び地方自治体とは全く異なるものである)
⑤変動相場制を採用し、自国通貨建て国債が発行できる国の財政破綻はあり得ない、と財務省も認識していた。
※日本、米国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ等が該当
→財政破綻論に騙されないことが大事。
コメント