公明党の連立離脱は「親中vs.反親中」という「政界大再編」の引き金になる…マスコミと野党の「高市いじめ」がもたらす驚きの帰結

現代の日本
公明党の自公連立離脱~反親中・保守が親中・リベラルと対決
公明党は自民党との連立を離脱し、高市新総裁との「政治とカネ」の問題で合意できなかったと表明。背景には中国との関係があるとされ、連立崩壊は「親中」と「反親中」の対立を明白にした。この状況は自民党の保守化を促進し、今後の政界再編の引き金となる可能性がある。

公明党の連立離脱は「親中vs.反親中」という「政界大再編」の引き金になる…マスコミと野党の「高市いじめ」がもたらす驚きの帰結

本当に「政治とカネ」を重要視していたか

公明党が自民党との連立から離脱した。これは第二次安倍政権誕生後で、最大の政治的イベントであろう。

公明党は建前としては、自民党の高市新総裁と「政治とカネ」の問題で合意できなかったことを連立離脱の理由として挙げているが、本音は中国が望まない高市新体制とは公明党はやっていけないというものだろう。

そもそも「政治とカネ」の問題は、今ここで急に持ち上がった話ではない。石破政権においての対応で公明党はある程度納得していたはずで、高市新体制が誕生してからこの点で急に態度が頑なになったのが実際である。

仮に公明党がそれほど「政治とカネ」の問題を大切だとしてきたというのであるなら、石破総理が支援者から政治資金パーティー券の代金などとして計3000万円以上を受け取りながら政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑が持ち上がった時に、公明党はもっと声を挙げていたのではないか。

あるいは森山裕自民党前幹事長の8000万円以上と言われる自宅大豪邸が25年間にわたって未登記状態で、長年固定資産税を納めてこなかった問題についても、公明党は確かな声をあげていたのではないか。

公明党の本音は自分たちと同じ「親中・リベラル」勢力であれば、「政治とカネ」の問題を問題視しないが、相手が「反親中・保守」勢力になると、非対称的に厳しい態度に出ていると見る方が、圧倒的に合理的だ。

そもそも公明党は斉藤鉄夫代表からしても、副代表だった2020年段階で、寄付金100万円の不記載が発覚し、翌2021年には遺産相続に絡んで、約1億円の有価証券の記載漏れを起こしている。こうした問題を大したことではないと公明党自身が判断したからこそ、斎藤氏は党代表への昇格が認められたのだろう。党大会で斉藤氏選出にあたって異論が出たという話もなかった。これが公明党の「政治とカネ」問題の実際である。

高市氏は10月10日に行われた斉藤氏との会談において、公明党側が求める政治改革について「自民党は独裁政党ではないから、一旦党に持ち帰って協議したい。3日待って頂きたい」と伝えたが、斎藤氏は即決でないと受け付けないとしたことで、連立崩壊が決定的になった。自公連立をできるかぎり大切にしようとする姿勢があるならば、3日くらい待てばいいではないか。自民党の機関決定のあり方を理解しながら即決を求めたところには、高市氏とは組めないという結論が先にあったというのは明らかだろう。

中国ならば何でも呑み込む公明党

さて根っからの親中政党である公明党と自民党の相性は決してよかったとはいえない。

2022年に中国の人権状況に対する非難決議を国会で上げようとした際に、これに徹底的に抵抗したのが公明党であった。文案は修正につぐ修正を重ねて、何とか決議自体は上げられたものの、決議文からは「人権侵害」や「非難」といった言葉ばかりか、肝心の「中国」という言葉さえ抜け落ちた、実に中身のないものになった。

公明党は平和の党、人権の党だと自認するが、これが本気ならば、世界平和を乱し、人権に背を向ける中国に対しては、もっとも厳しくあるべきだろう。

ところがこうした中国に対して甘い姿勢を取っていた石破政権とは仲良くしておきながら、中国に対して極めて厳しい姿勢を示す高市新総裁に対しては、有無を言わさずに背を向けるのである。

公明党が「政治とカネ」の問題をそれほど重視しているのであるなら、この点からしても中国とは仲良くできないのではないか。

9月28日に唐仁健・前農業農村相が総額2億6800万元(約56億円)相当の賄賂を受け取っていたとのことで、執行猶予2年付きの死刑判決(事実上の無期懲役)を言い渡されたが、これなどは氷山の一角である。

中国共産党中央規律検査委員会と中国国家監察委員会が汚職問題で立件した数は、10年間で464万8000件に及び、一日平均1300件近くにもなる。「トラ(大幹部)もハエ(小役人)も叩く」とする習近平体制のもとで、中国の腐敗体制は大いに改善しているのだと公明党は主張するのかもしれないが、中国で進められている反腐敗キャンペーンが、習近平が邪魔になる勢力を叩き潰す権力闘争の手段として機能していることに気づいていないとすれば、その認識は相当に問題があるだろう。

党代表の斉藤氏と中国首脳との関係だけをとっても、その緊密ぶりは明らかだ。この半年だけでも、4月22日から24日に斉藤代表を団長とする訪中団が訪中し、中国共産党序列4位の王滬寧氏と会談している。王滬寧氏は日本の財界人が望んでもなかなか会見が許されない相手だが、こんな相手とも簡単に面会できるのが、公明党だ。これは公明党と中国共産党のパイプの太さを物語る。

4月16日にも、5月21日にも、また連立離脱決定の直前の10月6日にも、斉藤代表は呉江浩駐日大使と面会している。10月6日は高市新総裁が選出された2日後のことであるから、自民党の高市新体制誕生を受けて、公明党の今後の路線をどうすべきかという点で中国側と意見交換をしているのは確実である。

この場で中国側が公明党側に連立離脱を強く求めたかどうかはわからない。ただ、少なくとも反対しなかったことは確かであろう。

中国側は高市新政権の誕生をできる限り阻止したいと考えたのかもしれないし、阻止できないとしても、高市新政権を弱体化させることは、中国の国益にかなうと判断したのだろう。

本当に自民にとってダメージだけなのか

この公明党の連立離脱は高市新体制にとって大きな打撃のように見えるのは確かだ。

そもそも保守派をめぐる環境は、今はかなりの分裂状況になっており、その点を取れば、大いに悪化している。石破政権の親中・緊縮路線が国民から総スカンを喰らう中で、自民党を支えてきた保守層が国民民主党や参政党に大きく流れる動きが生じたのは、今さら言うまでもない。今のところは大きな勢力にはなっていないが、日本保守党にもかなりの票が流れている。

今さら保守系の高市政権が誕生し、総選挙に打って出たとしても、保守派の票がこうした諸派に分裂してしまうのは致し方ない。この中で公明党票も期待できない中では、自民党は苦しい戦いを強いられることになるというのが、中国側の読みだろう。

実際、公明党の選挙協力がなければ自民党の衆議院の小選挙区の議席は2割減るという試算を、日本経済新聞が公表しているし、そこには一定の論拠があるのは確かだ。

だが、オールドメディアや公明党などによる反高市的な動きが強まれば、これに対抗する形でSNSの言論が変わり、それが大きなムーブメントを作り出していくことを、中国にせよ、日本経済新聞にせよ、計算に入れていない。

オールドメディアに代表される親中「リベラル」勢力が高市いじめをすればするほど、高市氏を守ろうという立場で反親中「保守」勢力は、高市氏の周りに結集する。

この動きは、兵庫県知事選挙と近い状況を全国的に生み出すことになるだろう。オールドメディアが徹底した反斉藤知事の論陣を築いたのに対抗して、SNS側では斉藤知事を支持する動きが急激に広がり、結果的に斉藤知事が勝利する結果になった。

アメリカでのトランプ政権の返り咲き、イタリアのメローニ政権の誕生とも重なる構図が、この日本でも展開される可能性が急浮上してきた。

わかりやすくなった自民党

公明党が自ら連立離脱を選択したことで、高市自民党は保守回帰にさらに動くことができる。「親中・リベラル」か、「反親中・保守」かの構図は、公明党が連立離脱を選択したことで、圧倒的にわかりやすくなった。

すなわち、「親中・リベラル」の立憲民主党・公明党・共産党・れいわ新選組・社民党という陣営と、「反親中・保守」の自民党・国民民主党・参政党・維新の会・日本保守党という陣営である。

今のところは自民党・国民民主党・維新の会の中にも「親中・リベラル」がかなり目立つ状態ではあるが、この両陣営の戦いのなかで「反親中・保守」勢力が勝利していく中で、「親中・リベラル」勢力が退潮していくのは時間の問題だと見ればいいだろう。

公明党が自民党にくっつくことで、自民党の保守化は相当に抑えられてきたが、この重石がなくなることで、自民党は保守色を出しやすくなる。

さらにSNSの発達によって、世論形成においてオールドメディアの顔色を伺う必要が大いに薄れた。

高市総理が誕生するかどうかはわからなくなったが、国民民主党の玉木代表が新総理になるとしても、それは野党連合が支える新政権ではなく、自民党との連立政権になるのではないか。そしてそこには維新の会も加わることになるかもしれない。

玉木政権であれ、高市政権であれ、「親中・リベラル」との対決色のある「反親中・保守」の流れが誕生するのであり、これは戦後の政治の流れを決定的に変えることになるだろう。

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