日本の資源確保戦略【天然ガス】・・・液化天然ガスLNGの長期契約、日本企業主体の液化天然ガス開発

現代の日本

日本は資源の無い国である、と言うのは事実ですが、その確保や調達はどのようにしているのか?今後どうなっていくのか?本当に資源は無いのか?・・・について探求したいと思います。

第2回目は【天然ガス】についてです。

日本は世界一エネルギー資源の確保に成功している

アメリカのウォールストリートジャーナル(wsj)が以下のような内容を報じています。

「ロシアによるウクライナ侵攻の影響で特にヨーロッパ諸国は天然ガスの供給不足に陥っている。
ロシアは天然ガスの輸出額及び埋蔵量が世界最大規模を誇る国である。
2022年の天然ガス輸出額は約330億ドルで2位のカタール約205億ドルや3位のアメリカ約187億ドルを大きく上回る額となっており、ダントツで1位である。
ロシアの天然ガスの主要輸出先となるのがヨーロッパで約7割を輸出している。
EUがから見ても天然ガス輸入元の最大取引国はロシアとなっており輸入割合の約5割がロシアからであり、2位のノルウェーからの輸入割合が19.9%であることからもEUの天然ガス資におけるロシアへの依存度の高さがわかる。結果として、ヨーロッパ諸国はウクライナ侵攻によってかなり損害が出ている。

このような状況で、日本は世界一エネルギー資源の確保に成功している。」

日本のエネルギー資源確保のカギは液化天然ガスLNG購入の長期契約。

液化天然ガス長期契約

伊藤忠商事、三井物産、JERAがオマーンLNGと長期売買契約を締結(オマーン、日本) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

日本は諸外国と異なり液化天然ガスを10年以上購入するという長期契約を結んでいる。
特に日本は長年にわたりカタールから液化天然ガスを輸入している。

カタールは西アジアに位置する国で中東のアラビア半島北東部に位置するカタール半島にあります。
南はサウジアラビアと国境を接し、残りの領土は海に囲まれています。

カタールは世界最大の液化天然ガス輸出国の一つであり日本は世界最大の液化天然ガス輸入国です。

1970年代後半から1980年代初頭にかけてエネルギーの多様化を進める日本はカタールを含む中東諸国との液化天然ガス供給契約を結ぶようになった。

それ以降日本のエネルギー需要やカタールにおける液化天然ガス生産能力の増加に伴い両国間の取引は拡大を続けてきた。

しかし、これまで長期契約を結んで日本とカタールだが2021年の大型契約は一部を除いて更新されなかった。なぜこうなったのかは、不明です。

このように2021年暮れにカタールとの大型契約は一部終了したが2022年12月27日にオマーンと長期契約を締結することに成功した。

日本の三井物産と伊藤忠商事、それに日本最大の発電事業者のJeraはオマーンとの間で10年程度の長期契約を締結し、2025年以降年間で235万トンの液化天然ガスを新たに輸入することで基本合意した。

長期契約の価格はオイル価格との連動することが一般的でオイル価格変動に応じて液化天然ガスの価格も変動する形ですが、日本の長期契約は8割、欧州は4割となっています。

両国間の利益

長期にわたって資源を輸出する輸出国側はそれに見合った対価の安定した支払いを希望し、輸入国側は安定した液化天然ガスの供給を希望している。スポット市場の価格が高騰している時は特に比較的安定した価格で購入できる長期契約を結ぶことは輸入国側としてもメリットが大きいとされている。

このように長期契約を結ぶことは互いの国益につながる。

日本はずっと昔からこうやって長期契約を締結していることから資源確保について一人勝ち、エネルギー資源の確保に成功していると言われている。

日本で生産されている液化天然ガスについて

2022年末、新潟、千葉、北海道、秋田、宮崎などで天然ガスの生産が行われている。国内には、石油天然ガス鉱山として58の山が存在し、年間約23億立方メートルの天然ガスが生産されている。

しかし、これらから作られる天然ガスの量は微々たる量で国内供給量の2.2%にしか満たない。

日本企業主体の液化天然ガス開発

イクシスLNGプロジェクト|INPEX
日本企業が初めてオペレーターを務めるイクシスLNGプロジェクトを紹介しています。イクシスの開発コンセプトはこちらをご覧ください。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ichthys_lng.html

オーストラリアのイクシスLNGプロジェクト

史上初の日本企業による大型液化天然ガスプロジェクトで、オーストラリア北西部の沖合にあるイクシスガス・コンデンセート田を開発し、ノーザンテリトリーのシュートダーウィンで液化天然ガスを生産するという取り組みです。

実施しているのは日本の石油天然ガス開発企業で中東やアフリカ米国などで油田などを開発している国際石油開発帝石インペックスです。

このイクシスLNGプロジェクトがどれほど大規模なものであるかは施設の大きさを見てもわかります。

洋上に浮かぶ沖合い生産施設の高さは210m、沖合生産所有出荷施設の高さは140mと高層ビル並みの大きさです。またこのガス電からダーウィン港のそばにある陸上ガス液化プラントまではなんと890キロにも及ぶという大きさです。この890キロを誇る海底パイプラインでガスが輸送され、これは東京から福岡までの直線距離とほとんど同じ距離です。

このプロジェクトは1998年に開始そこから20年かけて2018年7月27日ついにガス生産が始まった。

2018年10月からは日本に向けた液化天然ガスの出荷も開始されている。

今後は年間で約890万トンの液化天然ガスを生産しそのうち年間で約570万ト日本飼い主向けに輸出する予定。この量は日本における液化天然ガス需要の約7%にあたる量。

販売契約を結んだ先はジェラ東京電力グループと中部電力の合弁火力発電会社や東京ガスなど大手企業が並んでいる。

日本企業が主導開発することを通して液化天然ガスが手に入るようになるこれは液化天然ガスの安定供給に大きく貢献する。

さらにオーストラリアとの関係にもいい影響を及ぼすと考えられる。

イクシスLNGプロジェクトで生産した液化天然ガスを他の国にも販売できるようになればもっともっと日本の市場を広げられる。

このような、液化天然ガスLNG購入の長期契約の実現、日本企業主体の液化天然ガス開発のカギはやはり、関係各国との友好関係の構築と日本からの技術供与がカギであると思います。

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