トランプのベネズエラ制圧がとどめに~経済ボロボロのキューバでとうとう権力層の内輪もめ、崩壊のカウントダウン始まる

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キューバ「崩壊のカウントダウン」、権力者の壮絶な内輪もめ
トランプ政権のベネズエラへの軍事作戦が影響を及ぼし、経済が崩壊状態のキューバでは権力層内での対立が深刻化している。ベネズエラからの原油供給が停止し、キューバはエネルギー不足に直面。医療や観光産業も衰退し、生活基盤が危機的状況にある。体制内の亀裂が明らかになる中、政権崩壊の可能性が高まっている。

トランプのベネズエラ制圧がとどめに~経済ボロボロのキューバでとうとう権力層の内輪もめ、崩壊のカウントダウン始まる

ソ連去りし後

ベネズエラに対する米軍の軍事作戦の成功によって、キューバは甚大な影響を受けることが予想されている。

そもそもキューバ経済はすでに崩壊状態にあり、ベネズエラからのエネルギーの輸血を失うことで、この窮状がさらに激しくなると見ればいい。

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キューバの主要産業として、歴史的に非常に重要な役割を果たしてきたのが砂糖産業だ。かつては世界最大の生産量を誇ったキューバで、今なお砂糖の栽培面積は、公式には124万4500ヘクタールあることになっている。これは四国のざっと2/3にも相当する膨大な面積だ。

だが実際には、もはや砂糖はろくすっぽ生産されていないのが実情である。キューバは最低限の国内需要を満たすだけの砂糖も生産できなくなり、キューバ国内で生産する量よりも多くの砂糖を輸入しなければならないくらいにまで、実際の生産規模は落ち込んでいる。

ソ連邦崩壊直前の1989年には、年間800万トンの生産量を誇っていたのに、2025年の段階では、恐らく15万トンくらいしか生産できていないのではないかと推測されている。これは1989年比でわずかに2%程度しか生産できていないということを意味する。

社会主義大国のソ連が存在した時には、高コストのキューバ産の砂糖でもソ連がしっかりと買い支えてくれた。ところが、ソ連が崩壊して国際競争に晒された結果として、非効率なキューバ産では競争力で勝てなくなり、急激に生産量が縮小していったのだ。

サトウキビの生産が衰えただけではなく、砂糖精製工場も悲惨な状況だ。2025年に操業予定だった工場はキューバ全土で14あったのに、そのうち半分以上の8つの工場が稼働せず、6つの工場だけが稼働している状況だという。設備投資の更新がなされずに、いまだに50年以上前の機械を騙し騙し使っている状態で、精製工場もろくに動かなくなってしまったのである。

観光もドミニカに負ける

ソ連崩壊後に、今後厳しくなることが見えた砂糖に代わって、キューバ政府が力を入れたのが観光産業であった。観光産業は2018年には年間460万人を集めるほどに育ったが、2025年の観光客は恐らく200万人を切ったのではないかと見られている。

明るい太陽と美しいビーチは魅力的な観光スポットのように思えるが、そんな場所はキューバ以外にもある。例えば、ほぼ隣国と言っていいドミニカ共和国は昨年の1~3月の間だけで、330万人の観光客を受け入れており、通年では恐らく1200万人以上の観光客が訪れていると推察される。キューバの6倍以上だ。

キューバは電力供給からして不安定で、停電が生じるのは珍しいことではない。2025の発電供給量は、本来必要とされる量の半分程度しかなかったとの調査結果も出ている。暑い国なのに、空調もろくに機能しないのだ。外貨不足で輸入できるものも限られているので、ホテルでお客さんが求めるものを提供することも困難だ。

これに対してドミニカ共和国ではそういう不愉快さがないだけでなく、観光客が満喫できる観光スポットも充実している。SNSでそれぞれの観光地の評判も簡単に知ることができる中で、どっちを選ぶといった場合に、キューバを選ぶことはなかなか難しいのが実際だ。

医療、衛生の維持もできない

キューバには医療が進んでいるイメージがあり、実際キューバ国民の医療費は今でも原則的には無料だ。しかしながら、今や医薬品は慢性的に欠乏状態にあり、基礎的な医薬品の在庫は30%しかないとも伝えられている。そして、本来は非合法だろうが、お金を出すと薬が買えるといったことも起こっているとの報道もある。医療設備の老朽化が進み、医師や看護師もキューバ国内にいては生活ができないため、国外に逃れる例も多い。

こうした中で、出産に際しての母子の死亡率も上昇している。乳児死亡率は2018年には 1000出生あたり3.9人だったが、これが2025年には8.2人まで上昇した。母体死亡率は2024年段階では100,000出生あたり37.5人だったが、これが2025年段階では56.3人にまで上昇した。キューバの医療がかなり崩れてきていることがわかる。

またキューバにおいてはゴミの回収もままならなくなり、蚊が大量に発生し、デング熱、チクングニア熱、オロプーシェ熱等が蔓延しており、日本の外務省も渡航に対して注意喚起している。

安全な水の供給も、停電、ポンプの整備不良、水インフラの悪化といった要因により、困難に直面している。既に国民の2~3割には安全な水が供給できていないようだ。

とどめを刺すベネズエラ原油の停止

キューバが経済を維持するには、1日当たり15万バレル程度の石油が必要だと考えられる。国内での生産は2008年段階では1日あたり6万8000バレルの生産があり、不足分はベネズエラから事実上無償で補ってもらっていた。その代わりにキューバはベネズエラに医療スタッフや軍事顧問団、教員などをバーターで送り込んで、持ちつ持たれつの関係を築いてきた。

その後も2014年までは、キューバ国内で概ね日量6万バレルの生産ができていたが、2015年以降は直線的に生産量が落ちている。設備の老朽化が進んでいるためだ。2024年には日量3万2000バレルにまで落ち込んでおり、2025年はこれよりさらに2000バレルほど少ない日量3万バレル程度にまで落ち込んでいたのではないかと推察される。

ベネズエラの経済力が衰える中で、ベネズエラからの原油の供給も衰えていった。トランプ米政権が、ベネズエラ沖で原油タンカーの拿捕を開始する前の時点では、ベネズエラからの供給は日量3万5000バレル程度にまで落ち込んでいたようだ。国産とベネズエラからの輸入を足すと6万5000バレルあったことになるが、これでは必要とされる15万バレルに全く届かない。不足分はメキシコなどから国際マーケットで購入するしかなかったが、外貨不足から必要量を賄うことは全くできなくなっていた。

この上さらベネズエラからの輸入が止まり、トランプ政権が睨みを効かす中で、国際マーケットからの購入もできなくなるとすれば、キューバは最低限必要なエネルギー供給の20%程度しか賄えない状態になると予想される。

キューバからの輸出額は2024年段階で16億ドル程度まで落ち込んでいたが、不足する原油を全て国際マーケットで購入する場合、現状の歴史的に安い原油価格をベースとしても、輸出額の2倍に近い代金が必要となる計算だ。稼いだ外貨を全額石油の輸入に充ててもなおエネルギーは不足するが、そんなことをすれば、医薬品などの生活上必要な物資の輸入は完全に不可能になる。

ついに権力層にヒビが

こうして見た場合に、海外からの支援がないとキューバの生存は難しいが、ウクライナとの戦争で疲弊しているロシアや、バブル崩壊に苦しむ中国が、大盤振る舞いして助けてくれるなんてことは、期待できないだろう。そもそもロシアや中国にしても、ベネズエラに対する鮮やかな軍事作戦を見せつけたトランプ政権が睨みを効かす中で、キューバを支援することは、怖くてできないだろう。

アメリカによるベネズエラに対する軍事作戦を受けて、キューバのディアス=カネル大統領は、「ベネズエラ、キューバ両国の革命を守るために、血を流し、命さえ差し出す覚悟を持つべきだ」と国民に呼びかけたが、社会主義を絶対死守しなければならないと思っている国民が、一体どのくらいいるのだろうか。自由を奪われ、政府批判もできないようにさせられながら、生活まで破壊されているのだ。

こうした経済的な危機が深刻化する中で、キューバでは権力層においての亀裂が徐々に広がっていることが窺われる。

カストロ兄弟のような歴史的カリスマが仕切っていた時代が終わり、新世代への世代交代が起こっているが、この中で世代間の対立が生じていることが指摘されている。新世代の中にも旧世代からの既得権益層も生まれており、ここに遠慮していては、改革はなかなか進まない。

2025年の12月に、ヒル前企画相は汚職およびスパイ容疑で終身刑を言い渡された。裁判は非公開であるから、どこまで実態に即した判決なのかはわからないが、容疑内容からすれば、体制転覆に関わっていたと見なされたと推察できる。ヒル前企画相は旧世代に近い立場を維持するディアス=カネル大統領と路線対立していたのではないかと見られるが、困窮する経済のもとで、権力層においての路線対立が表面化した例として注目したい。

こうした中、米トランプ政権がキューバの政権崩壊を実現するため、キューバ政府内の協力者を探していると報じられた。本来は水面下で進められるべき話がリークされたのは、キューバ体制内の動揺を引き出すためだろう。「裏切り者は誰か」を巡っての疑心暗鬼が深まり、相互不信の中で権力層の結束は明らかに弱くなる。キューバの現体制のカウントダウンは始まったと見ていいだろう。

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