信頼されない「名誉白人」日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が「見捨てられて当然」の実態
「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」で紹介したように、アメリカ中心の金融覇権からの離脱が始まっている。その時、西側先進国は……
安倍元首相の「遺産」は……
BRICSが勢力を拡大する中で、期待されたほどに盛り上がらないのが、2019年3月14日公開「TPP11の中心国・日本は世界再編のキャスティングボードを握るか」で述べたTPP11である。
2019年1月、東京での第一回TPP委員会 首相官邸HP
「大原浩の逆説チャンネル<第2回・特別版>安倍元首相暗殺事件と迫りくるインフレ、年金・保険破綻」で述べたように、戦後最大級(になるはずであった)外交的成果の功労者を2022年7月8日に失ったことは大きい。
だが、BRICSに比べてTPPが「欧米色」の強い存在であることも大きな理由ではないだろうか。TPP11の加盟国はオーストラリア、カナダ、シンガポール、チリ、日本、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナム、ペルー、マレーシア、メキシコである。「非欧米」の国々と「欧米」の国々との混合であるといえよう。さらには、2021年2月には英国が加入を申請。2023年3月に交渉が実質的に妥結している。
本当は、米国が離脱した後、加盟国の中では最大の経済大国の、日本が本来重要な役割を果たすはずであった。
昨年6月27日公開「世界が『西欧主導』から『非西欧の時代』へと向かうとき、日本人は『名誉白人』のままでいいのか?」で述べたように、G7の中で唯一の非白人国家である日本は、「欧米」と「非欧米」の「中間」に位置するとされ、両者の「融和」を司ることが期待されたということである。
だが、ウクライナ戦争やガザ戦争において、欧米が「独善的ダブルスタンダード」を振りかざすことによって、「非欧米国家」との融和が極めて困難になった。欧米のダブルスタンダードが「世界」からどのように評価されているのかは、ARAB NEWS JAPAN 2022年5月9日「欧米の『ダブルスタンダード』は言いがかりではなく事実」などでよくわかる。
「中間点」と言いながら、結局のところ欧米の中心である米国にペコペコ頭を下げる日本が、「非欧米諸国」から「本当の信頼」を得ることができないのも致し方ないことだろう。
ズタズタの欧州
「貧すれば鈍する」というが、米国や欧州が必死になって「ダブルスタンダード」を駆使するのも、彼らの「地盤沈下」と無縁ではないと考える。
ドイツの惨状については、6月4日公開「これで日本を上回る? 実はボロボロ・ドイツ経済、いつまでも期待先行のインド経済」で述べたが、昨年9月11日公開「ドイツを見よ! EV化の惨めな結末~フォルクスワーゲン減産、結局、脱炭素は『三流国』への道?」で述べた「三流国」への道を転がり落ちている。
その他の欧州諸国も、昨年5月20日公開「7公3民、21世紀のフランス革命は起こるか、そして5公5民の日本では?」のフランスを始め厳しい状況だ。
米国においても、3月18日公開「今、目の前にある1989年のデジャヴ~上り調子の市場で損をする人々の生態とは」のように日本のバブル期を超えるほど「風船がふくれあがっている」にもかかわらず、昨年12月23日公開「アメリカン『ドリーム』と『ナイトメア(悪夢)』の落差、『夢』を与えられない人々の怒りが爆発する」などを始めとする問題が山積している。
選挙も裁判もまともに行えない米国
特に米国が錦の御旗として掲げる「民主主義」の劣化が激しい。2020年の大統領選挙の「疑惑」が解明されるどころか、逆に民主党主導で「国家ぐるみで臭いものに蓋」をしてしまった状況は、2021年2月25日公開「テキサス州が『大統領選挙不正との戦い』を牽引しているのはなぜ」などで述べてきた。
また、「米国の改革」を掲げるドナルド・トランプ氏に対する既得権益勢力からのバッシングも激しい。昨年9月2日公開「トランプ『魔女狩り』訴追とはバイデン米国は『韓国化』しているぞ」で述べたように、「『法の支配』は一体どこに行った?」と言わざるを得ない状況だ。
NHK 5月31日「トランプ前大統領 有罪の評決『不正で恥ずべき裁判』控訴か」で述べられているような「恥ずべき」判決は、将来「米国民主主義の汚点」として語られるであろう。
バイデン氏の陣営は、「法律を超越する者はいない」との声明を出しているが、この判決そのものが、「法律を超越する者」の存在証明だ。
米国が民主主義を錦の御旗にウクライナやイスラエルを含む中南米、アフリカなどの「独裁政権」を支援してきたことは明らかだが、米国そのものの民主主義でさえこのように崩壊寸前だ。
欧米の「絵空事の民主主義」を押し付けられる非欧米諸国が、欧米から離れていくのは至極当然である。
覇権が移動するとき、それは世界の大乱を意味する。いかに生き抜くか。「戦後体制が崩れて世界は『大乱』~資産も大事だが、変化に対応できるのは人間だけだ」を読め。読めばわかる。
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