2024-12-15

現代の世界各国

日本はパレスチナ国家承認にどう向き合うべきか(下) 現代イスラム研究センター理事長・宮田律

日本はパレスチナ国家承認にどう向き合うべきか(下) 現代イスラム研究センター理事長・宮田律ニューヨーク・ブルックリンのウィリアムズバーグで、シオニズムに反対してイスラエル国旗を燃やす正統派ユダヤ教徒たち(11月11日)宮田律氏イギリスとパレスチナの国家承認 既述【前号】したように、イギリスは現在にいたるパレスチナ問題の原因をつくった国だ。 イギリスのサッチャー首相(在任1979~1990年)は、イギリスのユダヤ人に対する共感やソ連のユダヤ人に対する支持を表明したものの、中東の不安定化がソ連をはじめとする共産主義の影響がこの地域に及ぶ原因になることを懸念した。そのため彼女は、パレスチナ問題の進展を目指し、イスラエルによる戦争の終結とパレスチナ自治政府の樹立、また和平交渉でPLO(パレスチナ解放機構)が代表することを求めた1980年の「ヴェニス宣言」(中東に関する欧州理事会宣言)を他の欧州8カ国とともに発表した。 ヴェニス宣言は、パレスチナ問題の公正な解決とパレスチナの民族自決権が全面的に行使されるべきだと説き、エルサレムに関する一方的な変更を認めず、聖地のアクセスを妨害してはならないこと...
現代の世界各国

日本はパレスチナ国家承認にどう向き合うべきか(上) 現代イスラム研究センター理事長・宮田律

日本はパレスチナ国家承認にどう向き合うべきか(上) 現代イスラム研究センター理事長・宮田律イスラエルの攻撃により破壊されたガザ地区北部のジャバリア難民キャンプ(11月) パレスチナ人民連帯国際デー(国連パレスチナ分割決議の採択日)の11月29日、京都大学吉田キャンパスで現代イスラム研究センター理事長の宮田律氏を招き、「日本はパレスチナ国家承認にどう向き合うか」と題する講演会が開かれた。主催は、アムネスティ・インターナショナル京都四条グループ、パレスチナ人民と連帯する京大有志の会(学生団体)。昨年10月7日のハマスの襲撃に端を発したイスラエルのパレスチナ・ガザ地区への攻撃は現在も続き、ガザでは少なくとも4万4000人が死亡し、攻撃の矛先はレバノンやイランにも拡大している。この間、国際刑事裁判所(ICC)がジェノサイド(大量殺戮)の罪でイスラエルのネタニヤフ首相や閣僚の逮捕状を発行するなど国際世論の包囲網は強まり、長年主権を侵害されてきたパレスチナを国家として承認する動きが世界的に広がっている。一方、日本を含むG7各国はイスラエルを擁護・支援し、パレスチナ国家承認の動きを見せていない。宮田...
現代のロシア

今後のシリアとイスラエル

今後のシリアとイスラエル2024年12月12日   田中 宇アルカイダ系のHTS(レバント解放機構)がアサド政権を転覆した直後のシリアを、イスラエル軍が空爆・地上侵攻した。イスラエルは350発のミサイルを撃ち込み、シリア各地にあったアサド政権の軍事基地、兵器庫などを破壊した。シリア政府軍の軍備のほとんどが破壊された。ラタキアの海軍基地もミサイル攻撃し、シリア海軍の装備をすべて破壊した。(Israel’s frenzied reality: When destroying an enemy navy isn’t the top news story - analysis)(Israel conducts more than 300 air strikes across Syria)イスラエルは、1960年代にシリアから奪って占領しているゴラン高原から、シリア内部に10キロ侵攻し、クナイトラまで幅10キロの地域を緩衝地帯として半永久的に占領する。イスラエル軍は一時、緩衝地帯からさらに内部のダマスカス近郊まで侵攻し、シリア側の軍事拠点などを破壊した。イスラエルは、これまでいずれ返すと言ってい...
現代のロシア

米国がウクライナを使ってロシアの港湾都市を攻撃、露国はオレーシニクで報復へ

米国がウクライナを使ってロシアの港湾都市を攻撃、露国はオレーシニクで報復へ ​ウクライナ軍は12月11日にロシア南部ロストフ州の港湾都市タガンログをミサイルで攻撃、同州で知事代行を務めるユーリー・スリュサルによると、死傷者はいなかったものの工業地帯が被害を受けた​という。 アメリカ製のATACMSが使用されたようだが、ウクライナ軍が独力で使うことはできない。ターゲットの選定や情報の収集、ミサイルを誘導するための衛星からの情報、オペレーターなどアメリカ/NATO軍の協力が必要。ウクライナから発射されても、攻撃の主体はアメリカ/NATO軍だということだ。そうした攻撃を放置しないとウラジミル・プーチン露大統領は11月27日に警告している。 その前、11月19日にウクライナ軍は6発のATACMSでロシア深奥部を攻撃、また11月20日にはイギリス製ストームシャドウとHIMARSミサイルで複合攻撃した。いずれの場合もミサイル供与国は攻撃を許可しているはずだ。 それに対し、ロシア軍は11月21日、ウクライナのドニエプルにある兵器工場を新型中距離弾道ミサイルのオレーシニクで攻撃した。このミサイルは極超...
現代の中国

中国半導体最前線PartⅣ 半導体微細化「ムーアの法則」破綻の先を狙う中国

中国半導体最前線PartⅣ 半導体微細化「ムーアの法則」破綻の先を狙う中国米アマゾンのラボAIチップ開発など研究(写真:ロイター/アフロ) 半導体の微細化に関して「半導体の性能が18ヵ月で2倍になる」という経験則「ムーアの法則」は実際上かなり前から破綻しているが、人々は「3nm、2nm…」と競い合っている。ならば、「3nm、2nm…」の実態は何かと言えば、それは商品番号にすぎず、実際TSMCでも、たとえば「TSMC 3nm」チップとは言わずに、TSMC「3N」と、「こっそりと商品番号に置き換えている」ことに気が付かなければならない。その意味では製造者側は、実は良心的に「ムーアの法則」の破綻を認識していると言っていいだろう。 多くの研究者は、物理学的には「3nm」辺りから事実上それ以上の微細化はできないとする「ムーアの法則」限界理論を10年以上前から展開はしている。しかしビジネス界はわかっていながらも、互いに「騙し騙され」、「3nm、2nm…」を唱えてきたのである。投資家に気付かれるのを避けるためだろう。 いま現在は、既に「ムーアの論理」は破綻していると見る専門家は多く、中国もその中の一...