241128 ビジネス知識源無料版:無料版特別号:既得権益層への無党派層の反乱

現代の世界各国

241128 ビジネス知識源無料版:無料版特別号:既得権益層への無党派層の反乱

本号は、有料版正刊として11月20日に送ったものです。約10日遅れですが無料版の読者の方々にも、内容を少し修正して送ろうと思い立ちました。

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G7では、あいついで政治体制の転換が起こっています。世界では2010年ころからの新しいメディアであるSNS(Social NetworkingSystem:いわば社会情報システム)が隅々までWiFiで張られ、情報は世界同時化しています。

旧メディアにはある、
・新聞の編集(記者が書いた記事の重み付けと、情報の方向の編集)、
・テレビの編成(番組の重み付け、時間配分、内容の筋書き)がSNSにはありません。

個人がプロデューサーと出演者を兼ねます。情報の根拠のなさ、根拠の部分性、個人の感情的な好悪が含まれます。フェイクと真正なものが渾然一体としています。しかし、めぼしいSNSの情報をひろって読んでいると作成者の作った内容から自然に価値判断ができるようになります。個人の作文や、メールの判定とおなじです。

個人が書く小説はフィクションですが、架空性のリアリティは、「これはない」、「これはありそうだ」と判断ができます。絵画も、個性のないレンズが平等に写す写真に比べれば、画家の目がとらえた部分を強調したフィクションです。対象物の本質と言えるものを写真よりリアルに描きます。(注)写真すらも写した像の、五感で感じる重み、手触り、匂いがないという点でフィクションです。動画、映画もおなじです。

SNSはインターネットの恩恵で、2010年ころから誕生した広がった80億人の個人のメディアです。スマホの普及台数は、すさまじいものになっています。世界の人口74億人の約69%、50億人が使っていると推計されています(2023年)。人口が世界の1.6%である日本でも、1年に3263万台、金額では2.1兆円が売れています(経産省)。平均で3年に一回は買い換えられ、通信速度と機能が使いきれないくらい高性能になっています。

スマホはCPUの能力(スループット)において、1990年代の、数億円のスーパーコンピュータの性能を越えています。インターネットにつながるスーパーコンピュータをポケットに入れて持ち歩く時代。現代は、情報からは「とんでもない時代」です。iPadやPCも、生産台数が桁違いのスマホの機能を追いかけています。世界50億人のスマホで同時に見られているものがSNSです。ひとびとの意識と判断を変え、世界を変えるのは当然でしょう。

「どこでも、いつでも、どんな情報でも瞬時に得られる」という、パソコンとインターネットの初期(1980年代後期)に言われていたことが、2010年から予想外だったスマホで実現しました。その間約30年、やはり30年は区分ができる一つの時代(世代)です。働く現役世代が1回転するのが30年です。

スマホの利用には、世代別に、予想通りの差があります。
・13歳から59歳・・・約95%(ほぼ全員)
・60歳代・・・・・・・・74%(10人のうち7人)
・70歳代・・・・・・・・47%(10人のうち5人)
・80歳以上・・・・・・・20%(10人のうち2人)

実験中であるCBDCのデジタルマネーはスマホで使います。60歳代以上に多い紙幣の利用を除くと全員に利便性(コンビニエンス)を提供します。デジタルマネーの「機」は、インターネットの世界インフラでは熟しています。意識のインフラではまだでしょうか。銀行預金は紙幣ではなくデジタル信号ですから、すぐにデジタルマネーになりえます。紙幣の利用率では日本が世界1ですが、それでも総預金量(世帯1127兆円:民間法人350兆円:合計1477兆円)の10分の1しかないのです。

スマホの年齢別の普及率とちょうど逆に、旧メディアの新聞の購読とTVの視聴では65歳以上が中心です(男女合計)。

・10代・・・・・ 60分(1日平均)
・20代・・・・・120分
・30代・・・・・150分
・40代・・・・・150分
・50代・・・・・180分
・60代・・・・・260分(総務省:2015年)

データが約10年古いので、スマホがほぼ全員に普及している2024年では、10代から50代のTVの視聴時間は2/3以下の、30分から100分未満でしょう。それに、共稼ぎ世帯は全世帯の70%に増えています。共稼ぎ世帯での親のTV視聴時間は、上のデータの1/3に減っていると推計できます。

TVメディアの影響力は、自宅にいる時間が長い退職者が増える65歳以上の世代(世代人口は3617万人:構成比29%:2020年)に限定されると判断していい。働く65歳未満は、圧倒的にSNSです。これがわれわれの生きている時代です。2023年、24年の、世界の選挙の結果にはメディアの違いがあらわれています。

1980年代までのTV時代の、紅白歌合戦の視聴率が2023年に29%だったことはうなずけます。1972年には驚きますが、80%だったのです。インターネットのない50年前の1970年代、40年前の1980年代はオールド・メディアが最大の影響力を発揮していた時代です。

脳の外部栄養は、情報と言葉です。現在のオールドメディア(TV・新聞・週刊誌)の影響力は、65歳以上の世代(3617万人:人口の29%)に限定されたものだとしていいでしょう。

新聞の購読数は2000年が最大の4700万部(一般紙+スポーツ紙)でした。
世帯数として記録されているのは4740万世帯(世帯平均人数2.6人)ですから、ほぼ全世帯が新聞をとっていました。固定電話の普及も100%だったでしょう。

2023年には単独世帯が34%(1850万世帯)に増えて、総世帯数は5800万(世帯平均人数2.1人)です。ところが新聞の購読数は2850万部に減っています。購読率は2000年のほぼ100から、49%へと半減しています。

2021年で65歳以上がいる世帯数は2580万世帯です。新聞の購読数2850万部は、ほとんどを65歳以上がいる2580万世帯がとっていると言えるでしょう。(1)新聞をとらないこと、(2)TVもあまり見ないこと、(3)固定電話がないこと、(4)情報はスマホ、iPad、PCで得ることが、65歳未満の現役世代の特徴です。新聞とテレビの影響力は、約20年で半減したのです。

記憶では2012年ころから、新聞情報には事実の偏った解釈と感情的なものが増えてきたように思っています。

新聞のテキストの構造主義的分析を、このメールマガジンで確か二度行いましたが、記者やコラムニストが無意識に根拠としている観念や理論に偏向があるのです。

米国と英国ではもっとひどく、諜報機関のCIAにならって事実のねつ造をしています。諜報(ちょうほう)とはフェイクの事実を作り上げ、あるいは小さなことを強調して、自派に有利になる対応行動を示すテキストの構造のものです。米国CIA、国家情報安全局、中国の政府メディア、ロシアのFSB、北朝鮮の秘密警察が行っています。日本ではどこでしょう。諜報の至近にあるのは、一般会計と特別会計を管理する財務省に見えます。

会社では、デスクのあるひとは100%がPCで仕事をしています。役所、銀行、商社でもおなじです。内部の会議では集まりますが、外部との会議や打ち合わせ、商談はZOOM。注文、預金、送金、株や債券の購入もインターネットとコンピュータ。

仕事も生活も30年前とすっかり変わってしまった。講演もいまはZOOMやTeamがおよそ70%です。前面に自作オーディオ、後ろは天井までの壁面書棚がある仕事場から行っています。PCの画面は40インチの3画面です。データを出しながら横目で見て書いています。

【新刊書の著者校正】
原稿は早朝から書いています。著者校正が終わりました。書名は出版社との打ち合わせから『失われた1100兆円を奪還せよ!』に決定しました。

1100兆円は唐突で信じられないかもしれません。1988年からの消費税導入のあと〔3%→5%→8%→令和元年、西暦2019年の10月から10%〕の、世帯から失われた所得と、その後の名目GDP成長力(3%)と想定預金金利(2%)を計算するとこうなるのです。1100兆円の根拠を示します。

【「はじめに」の部分抜粋】
 <(はじめにの一部)世帯が、政府から奪還できる所得の試算根拠を示す。
(1)消費税ゼロで、消費額平均250兆円×10%×12年=向こう12年で300兆円が世帯の実質所得になる。(注)実質所得=名目所得÷消費前撤廃後の物価(90%)

 25兆円の所得が増えると、国債の金利から決まる銀行預金の金利は2%には上がる(実質金利はマイナス1%)。その国の名目金利は、消費税ゼロのあとの名目経済成長率3%に正比例する相関があるから、中立金利は3%付近に上がる。中立金利は、国債の金利と預金の金利に影響を与える。
 国庫には、消費税ゼロで23.6兆円の減収が生じる。これは外貨準備の米国債売り1年で25兆円(3600億ドル)によって補填ができる。>

<(2)経済成長が3%(金額では600兆円×3%=18兆円)に上がると、所得税の弾性値は1.0付近であるから、政府の税収も18兆円増える。
所得と税は名目で計算されるからである。(注)政府は、GDP増加と所得税収増加の2022年の所得弾性値を1.1で計算している。>

<〔結果〕消費税ゼロのあと1年くらいで、日本の名目GDP成長は3%に向かう。GDPが3%増える経済になって銀行預金の金利が2%に上がると、世帯預金1100兆円×預金金利2%=22兆円の世帯所得も回復する。消費税のゼロ効果で、実質の世帯所得は25兆円増え、加えて預金金利が2%と低くても22兆円、合計では47兆円世帯の所得が増える。

 ゼロ金利で世帯が失ってきた26年の、世帯の預金金利800兆円は、上がる預金金利だけでも36年で奪還できる。

65歳以上のひとがいる高齢者世帯の平均預金2000万円である。
預金の金利が普通の3%なら60万円になるから、生活費としての厚生年金の不足を補うものだった(源泉税20%を引いて48万円)。65歳以上の世帯の、夢の一部はここにあったが26年のゼロ金利で無効になっていた。

 GDP増加の所得弾性値1.0からの所得税の増収が、「政府国債の1200兆円×想定2%=24兆円」への国庫からの、国債の利払いの増加を補填する。財政のプライマリーバランスは黒字に向かう。(注)いま
は長短国債の利払いの加重平均は0.8%(金額は10兆円)くらいである。(はじめにからの引用は、ここまです>

【国際的なマネー・フロー(資金循環)】
消費税は、手取り所得(マネー)を消費に使うと10%がかかる「消費への懲罰税(これが本質)」です。消費税を「消費への懲罰税」とすると、消費税の導入と上げに、ずっと賛成してきた主流メデイアはどう答えるでしょうか。

これは「GDPの成長の抑圧効果」をもった税です。事実を言えば、1980年代のGDPの60%(金額では300兆円)が世帯の消費でしたが。消費税と社会保険料が高くなった現在は55%(金額では275兆円)に減っています。ちょうど、消費税10%分(23.6兆円)が世帯の消費から減っています。政府とマスコミは、このGDPの事実を言いません。だから財務省は、自分に都合のいい情報を流す諜報機関に近いのです。
マスコミもおなじです。マスコミと自民党は財務省派です。

日本人の国民所得からの国民負担率(税+社会保険料+消費額の10%の消費税23.6兆円)は50%に上がっています。米国では、この国民負担率は38%です。このため、GDPに占める世帯の消費は70%です。このうち8%分は世帯の負債の増加によるものです。

消費税の撤廃は、国民負担を消費額の10%分(23.5兆円)減らして、消費を、GDPの60%にまで回復させます。1989年からの35年、毎年4%は抑圧してきた600兆円のGDPを3%の成長路線に転換させます。

消費税撤廃のあと、約30年にわたる結果が、政府に行っていた1100兆円(消費税300兆円+預金金利800兆円)の、世帯による奪還です。

『失われた1100兆円を奪還せよ!』は、日本経済と政府財政の分析だけなく、増税と緊縮財政一辺倒の財務省を、説き伏せる世論を喚起する目的ももちます。
このため、
(1)30年の日本経済のほぼゼロ成長と対外純資産を471兆円(ドル高含みを入れれば570兆円)と世界1に増やした、ゼロ金利の円売り/4%金利のドル買いの「外為金融」。
(2)米国の消費と株価の高騰経済を成り立たせている「対外負債の増加金融」(対外純負債21兆ドル:3045兆円)、
(3)そして「国際的なマネー移動の全体」(円・ドルだけで1日160兆円が往来:世界通貨間では1000兆円/日が往来)、まで書いています。

以上の3点にわたって、事実の根拠となる数字をつけて、長編小説のように書いていたら380ページになってしまった。1冊としては大部過ぎるので、著者校正で約30ページを減らすことを行いました。

減らすのは、論理が切れることがあるのでなかなかむずかしい。説明的な、具体的な行動のエピソードを中心に削っていますが、削ると今度は前後を短く補うことが必要になるからです。

「資産=負債」が原理である複式簿記を知っていないと多少むずかしくなりますが、30年の国際的なマネーフロー(資金循環)の全体を分析して、論理立てて書いた類書はないと思っています。

経済・金融は、全部が、商品や証券とは逆方向に移動するマネーのやりとり、つまり資金循環で成り立っています。繰り返しの文章もあったので削除しました。

「マネー・フロー」とは、
・借り入れと負債の増加が入金(現金の増加)になって、・投資、預金、国債がいちばん大きな債券の買いの増加が出金(現金の減少)になる会社のキャッシュ・フロー計算書とおなじ構造のもの
です。日本の全体の資金循環表(24.06)はここにあります。(日銀作成:資金循環表)
       https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf

【世界のGDPの4倍になった負債からの資産バブル】
世界(政府+企業+世帯)の、GDPにたいする負債は世界GDPの400%に増えています(2024年)。
・2008年9月のリーマン危機のあとの負債による低金利の現金の増加に、
・日本の異次元緩和で増発されたゼロ金利の円(500兆円→ドル買いが400兆円)が加わって、
・2020年からは、コロナ対策のマネー1500兆円(日米欧)も加わって、
・ウクライナ戦争の戦費費消があって、世界がインフレ経済になり、
・世界の歴史上最大の資産バブル(株価と不動産)を生んでしまった
のが2024年です(リーマン危機の4倍)。

この30年、一貫して米国にマネーを増加供給したのは日本でした。対外負債を引いたその残高が、日本の対外純資産である471兆円です。
このうち、財務省が管理している外貨準備が1.2兆ドル(174兆円)です。

日本は、30年間、常に「約4%金利のドル買い/ゼロ%金利の円売り」を超過させてきたことから、1ドルが150円、160円の超円安になっています(1995年と2012年には1ドル80円付近でした)。

IMFが計算した、各国の物価をひとしくする購買力平価(PPP)では、1ドルは90円付近です。1ドル150円では60円分(40%)の、日米の金利差を主な動因にした「国際金融=国際的なマネー・フロー=円売り/ドル買いの超過」の歪みがあります。

円売り/ドル買いと、ドル売り/円買いが均衡するときは、為替レートは不変です。これが普通の状態。ところが日米の金利差(スプレッドは3%~4%)が、円売り/ドル買いを約30年も超過させてしまったのです。

資産バブル崩壊のあとの1990年から、期待実質GDPの成長率が1%未満しかない日本では、日銀が、日本の銀行危機の1997年から27年、およそゼロ金利への誘導を続けているからです(現在は0.25%)。

消費税の撤廃は、1年後のGDPを3%上げて、預金金利もたぶん2%台に上げます。これを、論理実証的に書いたのが、『失われた1100兆円を奪還せよ』です。

【よみがえれ、ケインズの乗数理論】
<10%の消費税をゼロにして、25兆円の世帯需要を喚起したときのマネー循環を示す。実質賃金が10%上がることによる需要の増加と、期待経済成長率の上昇からのマネー循環になる。

通貨増発によるインフレや外貨の購入増加ではなく、国内の、実質の潜在成長力の上昇が起こる。しかもこの需要増は、消費税がなくなることによるものだから、海外には流出せず、国内企業の売上の増加になる。

「消費税撤廃→物価の10%低下→実質賃金の10%増加→(1)期待企業売上の増加(23兆円)→(2)企業の人的な生産性の上昇(5%)→(3)賃金の上昇(4%)→(4)企業純益と世帯賃金の増加(10%)→(5)設備投資の増加(10%)→(6)GDPの3%増加(18兆円)→(7)税収の所得弾性値1.0からの増加(18兆円)→(8)政府税収の増加(18兆円)→(1)への循環」というプラスの国内マネーの循環になるだろう。(9-1の項の抜粋)>

9-1の項は、「よみがえれ、ケインズの乗数理論」でもあります。

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   <Vol.1488:正刊:既得権益層への無党派層の反乱>
     2024年11月20日:有料版

【目次】
■1.世界で同時に起こった政治の転換
■2.24.10.27の、国政選挙の結果の分析
■3.体制の転換は、情報の転換から起こっていく
■4.五公五民になった日本経済
■5.米国の所得と資産の、格差の天文学的な拡大
■6.世帯のローンの悪化
【後記:ケインズの乗数理論】

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■1.世界で同時に起こった政治の転換

世界中で視聴数、購読数が半分くらいに減ったオールド・メディアが押してきた政権政党が、最大多数の無党派層によるSNS情報から転換する時期を迎えています。

収入が半減したことから組織運営が硬直化しているのです。自分が勤めている会社の売上収入が半分になったこと、あるいは自分の所得が半分になったことをイメージしてください。「正常なこと」はできなくなります。TVの番組制作費と社員数は半分に減っています。新聞、雑誌もおなじです。日本と米国、英国でもおなじです。

どんな会社でも、売上収入が半分になると、とくにメディアの平均給料は役職公務員と銀行並みに高いので、パート職では正常には会社が維持できなくなります。いま政府のキャリア官僚と記者にも辞職が増えています。

半分になった雑誌も、また半分になるでしょう。もっとも多かったコミック雑誌の印刷部数も2008年が800万部(推計30%の返本を含む)、2023年は250万部に減っています。

全国の全業種の商店数も、1980年代の200万店から76万店へと38%に減っています。小売総額は130兆円で30年、おなじです。半減したTVの視聴数、新聞の購読数、雑誌の購読数と、38%に減った商店の減少には共通点があります。

24.10.27の衆院選に行った人(50%)のなかで無党派と答えたひとは30.3%でした。全国民ではたぶん60%にはなるでしょう。固定的に、国民の30%はいた自民の支持層は26.8%に減り、8%だった公明党は5.6%に減っています。

■2.24.10.27の、国政選挙の結果の分析

衆院選の比例区では、以下の結果でした。
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・自民党1458万票(前回比533万票減:-26.8%)
                                       オールド保守系メディア
・公明党  596万票(前回比114万票減:-16.2%)機関紙
・立民党 1156万票(前回比  7万票増: +0.7%)
                                       オールド革新系メディア
・維新   510万票(前回比294万票減:-36.6%)
                                       大阪が中心の地域政党
・共産党  366万票(前回比:50万票減:-19.3%)機関紙
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・国民  617万票(前回比358万票増:+138%) :SNS
・れいわ 380万票(前回比159万票増:+71.7%):SNS
・参政党 187万票(前回なし):SNS
・保守党 114万票(前回なし):SNS
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以上のように、得票数が伸びた政党(SNS系)と、減った政党(オールドメディア系)に、はっきりと区分できます。

メールマガジンを24年(1480号:新刊書200冊分)書いてきたことからも分かるのですが、SNSでも大げさなフェイク情報、根拠のない情報、論理的ではない感情、自分の信念に基づかないものは、短期で花火のように消えます。

「長期に、最低で5年できれば10年は続けることのできる情報の作成と性格」が必要です。一時的な登録者数より年数がホンモノのフィルターです。これも、SNSを見続けて分かってきたことです。扇情的なもの、いい加減なもの、根拠のないフェイクでの煽(あおり)りは、短期間で消えます。視聴者は正確な判断をしています。

米国の大統領選挙、英国の選挙、ドイツの選挙、10月27日の総選挙、兵庫県県知事選挙ではおなじ事象が起こりました。

トランプを追放したツイッターをイーロン・マスクが買収し、情報検閲のない「X」にしたことが大きかった。加えてフェイスブックのザッカーバーグが書簡で、「情報は全文検索されていて、民主党政府、CIA、FBI、NSA(国家情報局)から検閲を受けていた」と議会に告白したことです。

新聞とTVのオールド・メディアを信用すると答えるのは、実は、米国民の35%くらいです。日本の自民党+公明党の政権与党の支持層に似ています。彼らのグループは、反トランプキャンペーンをしてきました。

ハリスに言わせたのは、「トランプはファシスト、独裁、犯罪者」ということしかなかった。国民の85%は、物価の上昇と不法移民を問題にしていたのに、それへの政策はおよそ皆無でした。

加えて、ハリスが政策についてのスピーチができない情弱の感情的な頭脳であることがあきらかになりました。結婚式のスピーチは巧みでも、まともな政策スピーチができない小泉進次郎氏に共通点があります。

トランプが立派というのではない。ハリスが自滅したのです。そのハリスを、2010年から衰退期にはいっていたオールド・メディアが押していました。

実は、私も2012年ころまで衛星放送のCNNやBBCをよく見ていて、サーモンピンクの英フィナシャル・タイムズ紙を購読していました。偏向が激しくなった内容のひどさを見てやめました。

おなじ筋の20種くらいの月刊・週刊の雑誌の定期購読をやめたのは、確かおなじ2012年ころでした。WSJも2020年ころにやめました。2種の日本語の新聞と合わせて、2週間ごとにまとめて捨てるのが大変な労力でした。1週間出張すると、大工さんに大きく作ってもらった郵便箱が溢れていたのです。

いまは雑誌では、リベラリズム・イデオロギーの偏向があるニューズ・ウィーク、数字が多くイデオロギーの偏向があまりない週刊エコノミスト、大衆的な週刊ダイアモンド、30年来の月刊誌、保守的な言
葉の文藝春秋、あとはIT系の雑誌2種です。

週刊ダイアモンドは今年中にやめて別のものにします。雑誌は、契約しているドコモのdマガジンに内外の100種がくらいあるので、ときどき読んでいますが、雑誌の時代も終わっている感じです。雑誌と本はお風呂で読むことにしています。

数字をひろうための、日経新聞の切り抜きは30年くらい続けています。
3年以上前のものは全部を捨てました。1か月に1冊になっていたので、段ボール数箱になって大量でした。代わりに壁面書棚が空いてすっきりしましたが、その後にまた本が増えました。

累計で約1万時間の講演のテープ、CDも段ボールで数箱になっていたので、捨てました。聴くと懐かしくはありますが、ずいぶん早口でした。数字と言葉の機関銃と言われたので、10年くらいまえからは、意図して緩くしています。忘れると、つい早くなります。

はっきりと言えるのは、オールド・メディアから離れたひとが、オールド・メディアに回帰することはないということです。これは、投票行動に反映します。オードルド・メデイア系の自民党、公明党、立憲民主党、共産党から離れた投票数が戻ることはない。

維新が微妙な立場にいますが、人気のある吉村大阪府知事が党首になっても、大阪の建築費を上げただけの不人気な大阪万博から得票は減らすでしょう。住宅建設の戸数が1980年代のピーク200万戸から、現在は77万戸へと39%に減っているので、建築業の人数も40%あたりになっていて、円安で輸入資材が高騰すると、すぐに建築費が上がります。東京と大阪のタワマンの2億円から5億円は、人件費と資材の高騰からです。

今回、票を伸ばした国民民主党と「れいわ」にははっきりした特徴がありました。
・国民民主は、扶養家族の上限である103万円の所得控除を178万円に上げて、6兆円から8兆円の減税を図ること、
・「れいわ」は23.6兆円の消費税ゼロです。日本保守党から出て小選挙区で当選した河村前名古屋市長も、自分の俸給を約半分に下げて「減税党」を立ち上げていました。

今回は減税が争点と、2021年から物価が上がるなかで実質所得が下がった国民(60%が無党派)は選択したのでしょう。これは、85%が相対的な貧困になっている米国と、日本の共通の政治テーマです。

このためトランプは、物価を下げるための米国石油の増産、ウクライナ停戦、国民のコストである米軍の前方展開から退却と減税を言ったのでしょう。トランプと副大統領が予定のバンスの世論的、政治的なセンサーは、働いています。ハリスの民主党にはこれがなかった。トランプは、当たり前に勝ったのです。

■3.体制の転換は、情報の転換から起こる

ひとは外部情報を受けとって、脳内の、意識で言語化された知識と言語化されていない累積した経験(暗黙知)に照らして判断し、判断によって行動や発言をしています。CPUはニューロンの知識と経験です。
その構造は犬や猫の判断とおなじです。

犬や猫には言語化された知識がなく、無意識の領域の体験がCPUでしょう。死亡間際のひとの脳を、仮にブタやチンパンジーに移植できたらどうなるか? その時代は、倫理を無視すれば、近々来るかもしれません。臓器はすでに移植ができます。脳も臓器です。

意識の対象物から感じる「気」や「勘(かん)≒直観」というものもありますが、これは、言語化されていない経験のニューロンがおこなう予想でしょう。伊勢神宮に行ったとき、杉の大木を見て感じる
「気」がこれです。マイナスイオンや地霊ともいいますが根拠が薄弱です。

優れた画家は対象物や自然の気を読んで「表現」として描くことのできるひとたちでしょう。レオナルド・ダ・ヴィンチは、この気を感じて描くために、解剖して筋肉と骨格を学習していました。

既得権益層を守ってきたオールドメディア(典型がNHK)の情報の、社会にたいする効果が減って、SNSが増えると、既存の政治体制と制度の変換に至ります。これが兵庫県知事選、10.27の総選挙、11.05の米国大統領選挙で起こったことです。

オールド・メディアが減ってSNSが一層高度化して増えるのは時代の必然ですから、既存の政治体制、制度、慣習が転換するのも必然です。
これが、2024年に、萌芽として起こった。

日本では25年7月の参院選、つぎの衆院選(参院選と同日かもしれない)、3年半後の参院選を通じて、これから3年で戦後政治の転換が起こります。

減税が、時代の潮流になるでしょう。

■4.五公五民になった日本経済

『失われた1100兆円を奪還せよ!』の原稿の一部を抜粋してつなぎます。

<ここから、日本経済がすでに構造的にかかえている五公五民(官50%:民50%経済)の国民負担になった財政問題から示す。

 租税と社会保険料の、国民所得への負担率は45.1%だが、財政赤字分の5.4%を含むと50.9%になる(2024年:財務省の計算。2005年は11.7ポイント低い39.2%だった)。>
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a04.htm

江戸時代の経済が、人口(江戸末期は3400万人)の90%の農民に貧困を強いていた、収穫高の五公五民だった(所得の50%の現代より過酷な税だった)。年々高くなる社会保険料と税を引いた手取りの可処分所得は、名目賃金の60%である。

 この手取り所得で商品を買うと、さらに10%の消費税がかかるから、負担率は、世帯所得の50%あたりになる。(注)消費税の撤廃は、現在の50%の国民負担を40%に下げて可処分所得を増やす。

 消費されている商品とサービスの金額は、国民所得の55%である。
これが、実質であれ名目であれ、GDPのなかの個人消費が55%ということの意味である。

 米国では、国民所得にたいする税と社会保険料が33.9%と、日本に比べ18ポイント少ない。このため、個人消費の構成比GDPの70%と大きい(2021年の比較)。

 加えて米国では、世帯のローンの増加による商品消費が、日本よりはるかに多い。米国の経済は対内、対外負債をともに増やしてその借金で成長している。米国のGDP成長が止まるのは、政府負債+企業負債+世帯の負債が、限界に達したときである。

◎限界点は、FRBが利下げをすれば、買いが少なくなった米ドルが大きく下がって米国債の金利が上昇する金融の原理的な現象としてあらわれる。米国への貸付とは米ドルを買うことだからである。

■5.米国の所得と資産の、格差の天文学的な拡大

 米国で消費が好調に見えるのは、高く上がった株をもつ個人所得上位15%(2400世帯)の、年収82万ドル(1億1890万円)の階級の消費額が多いためだ。富裕者の所得が低所得者に降りるという奢侈(しゃし)と散財の貴族時代のトリクルダウンというトンデモ理論があった。
中国の開放経済の1990年代、トウ小平の「先富の思想」もこれだった。
これは機能しない。

▼バブルの時期にはバブル肯定する論があらわれる;
                    学者はその程度のものだ

 いつの時代も、所得格差を肯定するイデオロギーに満ちていた。日本のバブル時代には、少数者がもつ株価と資産の高さを肯定する理論の「トービンのq」もあった。中央銀行が国債を買って通貨の無限発
行をすることが効果的とするMMT(現代貨幣理論:ステファニー・ケルトン)もおなじである。

 米国では所得が中流以下の85%(1億3600世帯)は、物価の上昇、家賃を含む住宅費の増加による物価上昇を引いた実質賃金の低下で苦しんでいるが、日本のメディアは伝えない。

 メディアは時の政権に帰属する。日米ともに、おなじだ。

健康なジャーナリズムではない。事業が、国民の購買で成立するジャーナリズムは、国民の代わりに権力という強制力を批判する機能をもつべきものである。批判は非難ではない。政策の目的にたいして整
合的でないことを論理実証で示すことである。こうしたメディアは、まだ見ることができない。

 この原因はメディアの収入が半減した結果、金融資本の支配下にあるからである。ジャーナリズムが金融資本や既得権益側に立つと、米国風のシンクタンクになる。

国家のメディアである人民日報の中国、プラウダのロシアのように民主主義は機能しなくなる。それを補っているのがSNSである。

 物価上昇を引いた、実質消費の伸びでは米国では、
(1)所得階層を三区分した高所得世帯(10万ドル以上:1450万円)が大きく、
(2)中所得(8万ドル:1160万円)の世帯が中くらい。
(3)物価上昇で苦しんでいる所得の低い世帯(6万ドル以下:870万円以下)は、小切手のコロナ補助金が、1世帯でおよそ150万円あった
あとは、消費の伸びが低位であって生存消費しかしていない。物価が日本の約2倍、住宅が約3倍の米国では、年収870万円以下は貧困層になる。

【スーパーの実質売上】
 世帯が高頻度で買う商品のスーパーの、物価の上昇率は、日米共通に、政府統計の全体物価より高い。世帯の、高頻度購買商品だけのインフレのデータはないが、物価上昇率がG7でいちばん低い日本でも、感覚ではコロナ前の2020年の1.5倍にはなっているだろう。

 店舗の実質売上の、商品数量での前年比は、名目金額の5%上昇ではなく5%減少だろう。さきにあげた物価論の世界的な権威、渡辺努東大教授は、店舗のPOSでデータから高頻度購買商品の物価の上昇は
3%ではなく8%だったとしている。

 世界1のディスカウントストアのウォルマートや100円ショップの、インフレ込みの名目売上ではなく、高頻度で買う商品の物価上昇を引いた、実質の売上数量と付合する。

 24年10月15日のニューズ・ウィーク誌は、『アメリカ中流層の悲鳴が聞こえる』という特集記事を組んでいる。

 年収1500万円、米国では中流、日本では上流の所得金額の階級であっても、学資ローン、住宅ローン、クレジットカードの負債が限度に達して返済に苦しんでいる。中産階級の生活苦は、大統領選挙の基盤にある争点であった。サステナブルな社会を超えた所得と資産の格差から来る相対的な貧困の問題である(高所得者との比較による貧困:日米の85%世帯)。

■6.世帯のローンの悪化

米国では世帯の住宅ローン13兆ドル(1885兆円)以外にも、車のローン、学資ローンを含む消費ローンが5兆ドル(725兆円)と大きい。この三つを合わせると18兆ドル、1世帯あたりでは12万ドルである
(1740万円)。

日本の1世帯あたりの、住宅ローンと消費ローンの合計である740万円の2.4倍である。

 住宅ローンを除く、世帯向けローンは延滞率が14%に悪化していて、その上昇のトレンドは急峻(きゅうしゅん)である。なお20年3月の、3か月延滞率の尖った16%は、コロナ危機から来ている。

 本書が出る25年1月から3月には、延滞率がこのグラフにはない13兆ドルある住宅ローンの延滞増加と合わせると、日銀が利上げをした場合は、8年のリーマン危機のように、ドルの危機と銀行危機にもなる20%付近になっているかもしれない。2024年11月には、0.25%と世界低い金利の円キャリートレードで、米国の債務危機を、ドルを買い越して支えている。

 これは銀行が、破産したら困る赤字の会社に、追い貸しを続けて延命させること変わらない。これがドルの罠(わな)である。低金利の円を借りるキャリートレードとドル買いの超過の結果が、1ドル154.6円の円安/ドル高である(24.11.19)。24年8月5日は1ドル140円だった。
3か月で10%の円安・ドル高に回帰している。

 政府の経済統計(操作があることの多い速報でなく確報)は、リアルタイムで動いているマネーの金融には、3か月から6か月は遅れる。

24年には、ほぼ横ばいになっている全米平均の住宅価格が下がると、住宅ローンの悪化からのリーマン危機とおなじローン危機が不良債権の規模を大きくして起こる。債務危機の問題は2025年末からであろう。

【後記:乗数理論】
書籍では、である調を使って圧縮した記述にしています。時代の趨勢は「減税」に向かっています。このタイミング(時と機会)に、類書にない内容の本を出せるのは幸運です。5年で2回の総選挙で、自民党政権(1950年体制)は崩壊するでしょう(次回は25年7月のたぶん衆参両院選挙)。メディア分析で示したように、2025年以降、自民党が票を増やす条件はなくなっています。

ケインズの乗数理論については以下が数式を含んでやさしくまとめています。
https://www.pictet.co.jp/basics-of-asset-management/new-generation/economics/20240418.html

youtubeの、真面目な理論の動画はこれです。
https://www.youtube.com/watch?v=bjmivDIfnQI

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