いのち輝く万博と虫の殺処分

大阪・関西万博を推進した者が懸命だ。
国民が生活苦にあえぐ時代。
財政に求められることはただ一つ。
不要不急の対象に財政資金を投じないこと。
お金がうなり声を上げてだぶついているなら余興に興じるのもありかも知れない。
しかし、現実は違う。
高額療養費制度改悪が推し進められようとしているが、病気に苦しむ国民の命綱を政府が切るという話だ。
現状でも高額療養費制度の本人負担上限は低いものでない。
家族がおり、ぎりぎりの生活を強いられている。
本人負担の上限を大幅に引き上げれば治療断念に追い込まれる。
現に政府は制度改悪に伴う国民医療費の減少について、受診控えによる削減が1950億円にも達するとの見通しを示していた。
自己負担を引き上げて診療を断念させ、国民医療費の削減を図るということ。
悪魔の所業と言うほかない。
病気に苦しむ国民の命綱を政府が切る。
ここまで財政状況が悪いと言うなら、まずは、不要不急の政府支出を切るのが先だろう。

この視点に立てば万博開催など論外。
政府資金に依存せず、完全に民間の採算ベースで実行するなら自由だ。
しかし、広大な土地を手当てするだけでも民間の自己責任で実施することは容易でないだろう。
大阪・関西万博は万博のための万博ではない。
IR(カジノ)のための万博なのだ。
カジノ計画があるが交通インフラがない。
そこで、万博開催を強行して、万博名目で交通インフラを作る。
そのために万博を開催した。
しかし、赤字になる可能性がある。
それを回避するためにメディアが総動員されている。
入場者数の目標値が掲げられているが、あまり意味がない。
通期パス保持者が繰り返し万博に来ても収入増にならない。
万博のスタッフを訪問者数に加えるなどは完全に意味不明。
数字をかさ上げするためでしかない。
しかも、有料チケット購入の多くは企業に割り当てられた〈強要分〉。
半強制の〈協力金〉のようなものだ。
小中学校の児童生徒の無料招待分は税金投入そのもの。

万博収支の収入金額から税金投入分は差し引く必要がある。
橋下徹氏などが大阪府や大阪市が税金をどんと投下すればよいなどの発言を示すが言語道断だ。
巨大な税金を投下する価値のあるものでない。
能登半島で地震が起きて、建設関連の資源を被災地に集中する必要があったが、万博が優先されて被災地の救済は脇に置かれた。
これ以上の本末転倒はない。
産廃を埋め立てて造成した現場で虫が大量発生している。
吉村知事はアース製薬の協力を求める発言を示しているが、万博の基本理念を踏まえた対応を取るべきことは当然。
万博は〈いのち輝く未来をデザインする〉をテーマにしているのだそうだ。
「大阪・関西万博の理念とテーマ事業の考え方」
https://www.expo2025.or.jp/overview/philosophy/
に、こう書いている。
「人類は、利己を優先するあまり、時として、自然環境をかく乱し、さらには同じ人類の他の集団の犠牲の上に、不均衡な社会を作り上げてきてしまったのも事実である。」
「人類が生態系全体の一部であることを真摯に受けとめるとともに、(中略)行動することが求められる。」
虫が発生するから強力な殺虫剤で殺処分すればよいということにならない。
生態系の保全が基本に置かれなければならない。
万博がどのような対応を示すのかを監視する必要がある。



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