
黒潮大蛇行の終息、見通しは? 海洋研究開発機構の美山主任研究員に聞く 気象災害や猛暑改善に期待も

2017年8月に始まり、本格的に観測開始した1965年以降で最も長く続いた黒潮大蛇行が終息の兆しを見せている。漁業や気象環境に長期に影響を及ぼした「スーパー黒潮大蛇行」は、静岡県内ではサクラエビやシラスの不漁、台風15号による浸水、熱海土石流に関係したとの指摘もある。ただ、黒潮の威力はいまだ弱く、いつ大蛇行が復活してもおかしくない状況。海洋物理学が専門の美山透海洋研究開発機構(JAMSTEC)主任研究員(55)に見通しを聞いた。

―黒潮の最新の動向は。
「静岡沖で北緯32度より南まで蛇行していた黒潮は、紀州半島沖の冷水塊を挟み、いったん2~3月にプチンと切れた。こうしたことは大蛇行中に何度もあったが、その後再び4月末に同じ箇所で途切れ、そのままの状態が続いている。ただ、大蛇行が解消するときは冷水塊を北東に押し出すように黒潮の勢いが増すのが常だが、今はまだ黒潮の勢いは弱く、大蛇行がまたすぐに復活する可能性はあると考える。気象庁の基準では、大蛇行が3カ月間観測されない状況が続けば一度解消を宣言する」
―大蛇行が長期化した理由は。
「地球温暖化により、黒潮の流れを制御する偏西風が緯度1度、距離にして200~300キロ程度北上したことが原因の可能性がある。日本近海を流れる黒潮の流れが慢性的に弱まり、蛇行が起きやすくなった。長期的には大蛇行の期間が長くなる可能性はある。われわれの知っている時間スケールの中では、現在の偏西風や黒潮の動きは異変と言ってもよい。今月20日からJAMSTECの東北海洋生態系調査研究船『新青丸』で2週間、東北沖に実態調査に出かける」
―大蛇行解消で駿河湾はどうなるか。
「駿河湾では水温が乱高下する可能性がある。3月から5月にかけては最近5年間の平均に比べて2~3度低い時もあった。現在は高めに推移している。シラスの不漁が伝えられているが、海洋環境が変わる局面ではそうしたことが起きやすい。黒潮は幅100キロ、深さ1000メートル。駿河湾に入る支流も幅20キロ、深さ300~400メートル。周辺より最大2~3度海水温が高く、植物プランクトンを育む栄養塩が少ない。湿潤で暑い夏をもたらすとされ、黒潮の流れが雨を降らせる低気圧の進行方向を左右することもある。こうした状況は蛇行解消により改善される可能性がある」
静岡新聞社




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