いよいよ「米国民主主義」=「弱肉強食制度」が崩壊するといえる「これだけの理由」

現代の米国
いよいよ「米国民主主義」=「弱肉強食制度」が崩壊するといえる「これだけの理由」 @gendai_biz
ソ連という共産主義国家は1991年に崩壊した。しかしながら、それがすなわち「資本主義の勝利」というわけではなかった。ソ連崩壊以後、西側に「人権・環境全体主義」がばら撒かれたのだ。

いよいよ「米国民主主義」=「弱肉強食制度」が崩壊するといえる「これだけの理由」

11月の大統領選挙が天王山

ベルリンの壁崩壊は共産主義の終りではなかった

ベルリンの壁崩壊(の解放)は、今から35年前に起こった。

1989年11月9日、それまで東ドイツ市民の大量出国に悩まされていた政府が、その対応のため「旅行及び国外移住の大幅な規制緩和の政令」を「事実上の旅行自由化」と受け取れる表現で発表した。その結果、当日夜にべルリンの壁に市民が殺到。混乱の中で国境検問所が開放され、翌11月10日にベルリンの壁の撤去作業が始まったのだ。

壁崩壊を祝う市民達 by Gettyimages

1961年8月13日の建設開始以来、28年間も東西を分断していた「壁」が崩れたことは、当時の世界に大きな衝撃を与えた。ハンマーを手にした市民が壁を打ち壊す写真を繰り返し目にした読者は多いと思う。

そして、この壁崩壊は、それに続く1991年のソ連邦崩壊と合わせて、「『(東側)共産主義』に対する『(西側)資本主義』の勝利であると広く喧伝された。

軍事的には米国と並ぶ超大国であり、宇宙開発ではスプートニクショックを米国に与えたソ連だ。しかし、実は経済的には疲弊し崩壊した。この事実が「共産主義の失敗」の証明であることは明らかだ。

「五か年計画」に代表されるような計画経済は上手く機能せず、1985年にスタートしたゴルバチョフ政権によるペレストロイカによって「ソ連の市場経済導入」が図られたが、「時すでに遅し」であった。

確かに、ソ連という共産主義国家は1991年に崩壊した。しかしながら、それがすなわち「資本主義の勝利」というわけではなかったことは、33年後の現在明らかである。

共産主義の胞子がバラ撒かれた

ベルリンの壁が破壊されたことによって、西側資本主義が東側に雪崩をうって流れ込んだのと同様に、東側の共産主義も西側を大いに浸食した。

ただし、それは東側への西側資本主義の流入のようなはっきりと目に見える形ではなく、トロイの木馬のように深く静かに潜航したのだ。あるいは、ソ連邦を始めとする東側が「破裂」することによって、胞子(種子)が世界中にバラ撒かれたとも言えるだろう。

その胞子が成長した結果、例えばEUを中心に西側社会を牛耳っている「人権・環境全体主義者」を生みだした。

彼らは、「自称リベラル」が共産主義とは名乗らないが思想的にほぼ同一であるのと同じように、「共産主義の別名」であると言っても過言では無いと考える。

実際、昨年1月9日公開「環境イデオロギーが世界を破壊する、欧州の政治家も『狂っている』!?」で述べた「エコテロリスト」と「共産主義テロリスト」の思考方法や行動様式は酷似している。

さらに、2022年1月6日公開「ドイツは3度目の『敗戦』? メルケル16年の莫大な負の遺産」、2020年9月21日公開「メルケル独裁16年間のつけ、中国がこけたらドイツもこけるのか?」、で述べた、アンゲラ・メルケル氏は、東ドイツ出身で(ソ連流の)徹底的な共産主義教育を受けた人物である。

そして、メルケル氏の16年間、ドイツにおいて「人権・環境全体主義者」が勢力を伸ばし、昨年9月11日公開「ドイツを見よ! EV化の惨めな結末~フォルクスワーゲン減産、結局、脱炭素は『三流国』への道?」のような状況に陥った。

また、2020年頃から「感染症対策」を口実に、世界に広がった「パンデミック全体主義」にも同じことが言える。

「資本主義=民主主義」ではない

誤解されがちなのが、「資本主義と民主主義」の関係である。

共産主義と民主主義が水と油の関係であることは、あえて説明する必要が無いだろう。国民の声よりも、常に「共産党の決定」が優先するのが共産主義である。

しかし、資本主義と民主主義がイコールの関係にあるのではないことも明らかだ。

もちろん、資本主義経済においては「自由市場」が前提だから、「経済的自由」はある程度尊重される。だが、「経済的自由」は2019年1月9日公開「客家・鄧小平の遺産を失った中国共産党の『哀しき運命』を読む」で述べた、1978年から始まった改革開放でも概ね保証された。

鄧小平は、「共産党一党独裁」を堅持しながら、「自由経済」を国民に与えることで中国を大躍進させた。1985年からソ連が始めたペレストロイカは、前述のように「時すでに遅し」であったが、1978年からスタートした改革解放はベルリンの壁崩壊時には10年以上が経過しており、「間に合った」のだ。

逆に言えば、「自由経済」を標ぼうする西側諸国の「国民が本当に(政治的に)自由」であるのか?という疑問も生じる。

西側に蔓延する全体主義

例えば、5月16日公開「紅麹よりもワクチンの安全性はどうなっている~パンデミック全体主義について今こそ冷静に考えるべき」で述べた、「ワクチンの安全性に対する疑問の声」が、当時「パンデミック全体主義」によって封殺されたのは明らかだ。

また、米国は独立宣言で「自由・平等」を唱えながら、平然と卑劣な奴隷制度を温存した二枚舌の国である。同じように「民主主義」を唱えながら、ウクライナやイスラエルを含む、南米、アフリカ、アジア、中東の独裁政権を支持・援助し、国民によって選ばれた民主的政権を(CIAの暗躍や軍事的侵攻などによって)叩き潰してきた。

さらに、国内の民主主義も風前の灯だ。6月9日公開「信頼されない『名誉白人』日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が『見捨てられて当然』の実態」3ページ「選挙も裁判もまともに行えない米国」の通りである。

5月21日公開「『日本のことが嫌い』な米民主党とどのように付き合うべきか」で述べたように、かつて奴隷制度を強力にサポートし、戦時中は「非白人」である日系人の財産を取り上げ強制収容所に送り込んだのが、「人種差別主義」の民主党である。

また彼らは、2022年12月26日公開「実は似通った中国と米国の内部対立、2023年の地政学リスクは高まる」で述べたように、中国共産党と極めて似通っている。

1954年の共産主義者取締法などにより、共産党が実質非合法化された米国では、民主党が共産主義者の受け皿になっているといえるだろう。もちろん、欧州同様、「人権・環境全体主義者」の勢力も無視できない。というよりも、両者は「同一の存在」と言ってもよいほどである。

反中・反ロが民主主義ではない

共産主義国のプロパガンダはよく批判されるが、西側のプロパガンダもえげつない。

べトナム戦争は米国の過去の「悪行」の一つであるが、5月20日公開「ガザ反戦運動はベトナム反戦運動のようになるか? 追い込まれるネタニヤフとバイデン」で述べたように、「ベトナム戦争の真実」を知った人々による反戦運動に米国政府は悩まされた。

当時の戦争報道はかなり自由で、昨年2月1日公開「100年前に逆戻り、我々は『世界戦国時代』へ突入するのか?」冒頭の「ナパーム弾の少女」の写真や、昨年2月24日公開「米政府が関与か? ノルドストリーム爆破疑惑のバイデンと『迷走』岸田のコンビでは日本が危うい」4ページ「米国のお家芸の秘密工作!?」で述べた、シーモア・ハーシュ氏のソンミ村虐殺事件の大スクープなどが大きく報道された。

しかし、これに懲りた米国政府は戦争報道に厳しい規制をかけるようになった。そのため、ウクライナ戦争やガザ侵略に関する「西側に不都合な情報」を我々が入手するのは非常に困難だ。

要するに、現在の我々は、戦時中の日本国民が「大本営発表」に洗脳されていたのと同じ状態にある。唯一の救いは、インターネットの発達によって(自ら積極的に動けば)正しい情報を入手できることである。

昨年3月24日公開「ノルドストリーム破壊、脱炭素、ワクチン安全性……我々は『正しい情報』を得ているのか?」で述べたことについて、もっと真剣に考えるべきであろう。

アメリカンドリームという「プロパガンダ」

1989年のベルリンの壁崩壊以来35年間続いてきた「米国一極支配」が音をたてて崩れ始めていることは、6月9日公開「戦後体制が崩れて世界は『大乱』~資産も大事だが、変化に対応できるのは人間だ」、同「ついに世界の覇権移動が始まった…!『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」、同「信頼されない『名誉白人』日本、経済ボロボロの欧州、政治が機能不全の米国…勢力拡大中のBRICSに先進諸国が『見捨てられて当然』の実態」などで詳しく述べた。

まず、3月19日公開「今、目の前にある1989年のデジャヴ~上り調子の市場で損をする人々の生態とは」などで述べたように、米国の経済が追い込まれている。

さらには、米国一極支配の大義名分であった民主主義も、「ウクライナ戦争」や「ガザ侵略」におけるひどい二枚舌によって世界の信認を失ったと言える。

その上前記「選挙も裁判もまともに行えない米国」という状況では、米国そのものの「民主主義」にも赤信号が灯る。

結局のところ、米国が民主主義と称していたのは「米国型資本主義」による、単なる「弱肉強食」であったようにも思える。その結果、昨年12月23日公開「アメリカン『ドリーム』と『ナイトメア(悪夢)』の落差、『夢』を与えられない人々の怒りが爆発する」という状況に陥ったのだ。

2024年大統領選挙は「米国の民主主義」の試金石

1989年のベルリンの壁崩壊以来、「米国一極支配」の大義名分であった「(米国型)民主主義の命運を左右するのが、2024年米国大統領選挙である。

2023年9月2日公開「トランプ『魔女狩り』」訴追とはバイデン米国は『韓国化』しているぞ」のように「韓国化」して落ちぶれていくのだろうか。

それとも、2020年10月27日公開「第2次南北戦争も―選挙結果がどうなっても米国の分断は避けられない」のように惨劇を招くのであろうか?注視している。

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