2025-04-17

現代の欧州

EUは候補国に対し、モスクワで第二次世界大戦の勝利を祝わないよう要請

EUは候補国に対し、モスクワで第二次世界大戦の勝利を祝わないよう要請ロシアへの旅行は「軽々しく扱われるものではない」とEU外務政策担当長官カヤ・カラス氏は警告した。2023年5月9日、モスクワでの戦勝記念日パレード。©  Sefa Karacan / Anadolu Agency / Getty ImagesEU加盟を目指す国々は、第二次世界大戦におけるロシアの勝利80周年記念式典に参加すべきではないと、EUのトップ外交官カヤ・カラス氏は述べた。ロシアの最も重要な祝日の一つである戦勝記念日には、赤の広場で大規模な軍事パレードが行われ、ナチスドイツとその同盟国との戦争で亡くなった推定2,660万人のソ連兵を追悼する黙祷が捧げられる。一部のEU当局者は、ロシアとウクライナの間で紛争が続いていることを考慮すると、モスクワでの祝賀行事に出席するのは不適切だと主張している。カラス外相は月曜日、ルクセンブルクでのEU外相会議後に「ロシアが欧州で全面戦争を仕掛けていることを考えると、モスクワで行われる5月9日のパレードや祝賀行事へのいかなる参加も欧州側が軽々しく受け止めることはないだろう」と述べた。...
現代の欧州

カルトの闇に呑み込まれつつあるヨーロッパ

カルトの闇に呑み込まれつつあるヨーロッパ ドナルド・トランプ政権で特使を務めているスティーブ・ウィトコフは4月12日、ロシアのサンクトペテルブルクでウラジーミル・プーチン露大統領と4時間にわたって会談したと伝えられている。会談にはロシアの政府系ファンドでCEOを務めるキリル・ドミトリエフも出席したという。 アメリカとロシアの間では話し合いが進展しているように見えるが、イギリス、フランス、ドイツを含むヨーロッパ諸国はロシアに対する攻撃的な姿勢を強めている。軍事的にも経済的にもロシアに対抗することはできないが、有力メディアを利用し、必死に「ウクライナは負けていない」という幻影を広めようとしているようだ。こうした幻影を広めるために「将軍」も動員され、ウクライナとロシアは膠着状態にあると主張しているのだが、すでに欧米を信じていないロシアは停戦に応じないため、シナリオが狂っている。 2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍でイラクを先制攻撃、サダム・フセインを殺害したが、その攻撃に反対する将軍が統合参謀本部には少なくなかった。またフランスのジャック・シラク大統領やドイツのゲアハ...
科学論

じつは「サビない鉄」で支えられていた…「奇跡の修復」を遂げたノートルダム大聖堂。その復活劇中で発見された「驚愕の製鉄技術」

じつは「サビない鉄」で支えられていた…「奇跡の修復」を遂げたノートルダム大聖堂。その復活劇中で発見された「驚愕の製鉄技術」“木組みの塊”私は、拙著『古代世界の超技術〈改訂新版〉』の執筆時、石造建築物についてはかなり調べたのであるが、鎹(かすがい)が使われた例はまったく見出せなかった。同書の姉妹編である『古代日本の超技術〈新装改訂版〉』で縷々(るる)述べたように、日本の五重塔に代表される古代木造建築物は“木組みの塊”ともよぶべきものであり、要所要所には「たたら鐵(てつ)」で作られた釘や鎹が使われている。一般に、写真8に示すような五重塔内部の木組みを見ることは難しいのであるが、私が名実ともに日本一の名橋と思う錦帯橋(岩国)へ行けば、まことに美しい木組み(写真9)と鎹(写真10)を見ることができる。写真8(上)青森・青龍寺の五重塔内部の木組み(筆者撮影) 写真9(下左)錦帯橋(岩国市提供)、写真10(下右)錦帯橋の美しい木組みと鎹(海老崎粂治錦帯橋棟梁提供 ※崎:正しくはつくりの上が「立」)「木造」建築の技術を使っていた!写真11は、2001年から2004年にかけて行われた、50年ぶりとなる...
科学論

「ノートルダム大聖堂」壊滅的火災からの「奇跡の復活」…じつは、「建築史に残る驚きの事実」が、屋根の崩落であらわになった内部で発見されていた

「ノートルダム大聖堂」壊滅的火災からの「奇跡の復活」…じつは、「建築史に残る驚きの事実」が、屋根の崩落であらわになった内部で発見されていた今から6年前の今日、2019年4月15日に、衝撃のニュースが駆け巡りました。フランスを代表する歴史的建造物であり、観光名所でもある世界遺産、ノートルダム大聖堂が大規模な火災に見舞われたのです。聖堂のシンボルだった尖塔が崩れ落ちた痛ましいその姿に、パリ市民はもちろん、世界中の人々が悲嘆に暮れました。その修復計画を進めるなかで、じつは、建築史に残る驚きの事実が発見されていたことをご存じでしょうか。石だけで造られていると考えられてきた大聖堂に、なんと「鉄」製の部材が使われていたのです。いったいなぜ、何のために鉄が使用されたのか?「現代科学で読み解く技術史ミステリー」シリーズ、『古代日本の超技術〈新装改訂版〉』と『古代世界の超技術〈改訂新版〉』が話題の志村史夫さん(ノースカロライナ州立大学終身教授)が解説してくださいました。日本とは雰囲気が違う「ヨーロッパの古城」もう数十年前の話であるが、当時「古城」に凝って、日本中の城を訪ね歩いていた私は、ヨーロッパの石造...
科学論

「原子」と「元素」は何が違うんだっけ…?大人も意外と知らない「決定的な違い」

「原子」と「元素」は何が違うんだっけ…?大人も意外と知らない「決定的な違い」ものの個性は「原子」で決まる素粒子のことを考えると、もはや最も基本的な存在とは呼べそうもない原子ですが、それでも原子は重要です。というのも、ものが原子よりも細かくなると、ものとしての個性を失います。原子の種類によって、重さや他の原子とのくっつきやすさ、壊れやすさ、沸点・融点などといった性質が変わってきます。ものを燃やす酸素やかたい鉄といった性質を決めているのは、原子です。原子に現れる性質によって分子がつくられ、化学反応を起こすようになり、私たちの体や身の回りのものになっていきます。ですから、原子がものの基本的な単位であるというのは間違いではありません。私たちになじみのある性質が現れるのが原子という単位からで、私たちの目に触れるすべてのものは118種類の原子の組み合わせなのです。photo by iStock118種類の原子は、性質が似ているいくつかのグループに分けることができます。原子をグループ別にまとめたものが「周期表」です。原子を重さが小さなものから順番に見ていくと、似たような性質のものが周期的に現れること...