2025-04-11

現代の米国

トランプ金融波乱のゆくえ

トランプ金融波乱のゆくえトランプ台風が吹き荒れて世界の金融市場に波乱が生じている。原因はトランプ大統領が指揮する関税政策。米国との貿易収支で黒字を出している国からの輸入に高率関税をかけるというもの。トランプ大統領は、貿易赤字はけしからんという判断を有しているように見える。貿易収支(経常収支)が赤字の国は収支尻の赤字部分を海外からの資金流入で帳尻を合わせる。海外からお金を借りてたくさんお金を使っているということ。貿易収支(経常収支)が黒字の国はモノをたくさん売って資金を稼ぐが、余ったお金を海外に融通することになる。生活水準が何によって決定されるかと言えば消費水準によって決まる。貿易収支(経常収支)が赤字の国は所得以上の派手な暮らし(消費水準)を謳歌して、足りない資金を海外からの資金流入で賄っている。貿易収支(経常収支)が黒字の国は国内でお金が余り、余ったお金を海外に融通しているが、生活水準(=消費水準)は稼いだお金よりも少ないつつましい暮らしになる。アリとキリギリスのような関係だが、海外からの資金流入が途絶えなければ、米国は身の丈以上の派手な暮らしができているわけで悪い話ではない「アリと...
現代の米国

「わざと株価を暴落させている」トランプの“陰謀”――狙いは国内の格差解消か、政府債務の削減か、割れる分析

「わざと株価を暴落させている」トランプの“陰謀”――狙いは国内の格差解消か、政府債務の削減か、割れる分析トランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)「トランプはチェスをしているが、他はチェッカーをしている」[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領は4月4日、自らが設立したソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に「トランプはチェスをしているが、他はみなチェッカーをしている」というX(旧ツイッター)への投稿をシェアした。同様の投稿がSNS上に溢れる。 トランプ氏が共有したのは「アメリカンパパベア」(アカウント名)による「トランプ氏は意図的に米株式市場を暴落させている」と題した動画だ。その中で、「トランプ氏は今月、株式市場を20%も暴落させているが、それはわざとやっている」と唱えている。「トランプ氏が仕掛けた秘密のゲームであなたも大金持ちになれるかもしれない。なぜトランプ氏はこのようなことをしているか。米国債市場に資金を誘導し、5月に米連邦準備理事会(FRB)が金利を引き下げざるを得ない状況を作り出そうとしている」(アメリカンパパベア)「金利が下がればFRBは数兆ドルの負債を非常に安価に借...
現代の日本

財務省の経済政策敗戦②

財務省の経済政策敗戦②1980年代後半にバブルが生成された。その後、1990年の到来と同時にバブル崩壊が始動した。爾来、35年の時間が流れた。日本経済が活況を呈したことは一度もない。日本の失われた35年。この間に二度、日本経済が本格浮上するチャンスがあった。一度目は1996年。バブル崩壊不況が一巡し、日本経済はようやく巡航速度の経済成長を達成。経済を成長軌道に移行させるとともに抜本的な不良債権処理を断行していれば、日本経済は1990年代後半以降に経済成長軌道に復帰できたはずだ。しかし、1996年央が下方屈折点になってしまった。1996年6月25日、橋本龍太郎内閣が消費税率を2%引き上げる方針を閣議決定した。日経平均株価は翌26日に22666円をつけて暴落に転じた。98年10月9日の12879円まで暴落した。この危機を打開したのは小渕恵三内閣。財政金融政策と公的資金投入による金融不安対策を総動員して株価と経済の回復を誘導した。日経平均株価は2000年4月に20833円まで反発した。ところが2000年4月に小渕首相が急逝。森喜朗内閣発足とともに財務省は緊縮財政路線を始動させた。森氏が自民党...
現代の世界各国

欧米支配層の前に中国、ロシア、イランのトライアングル

欧米支配層の前に中国、ロシア、イランのトライアングル ドナルド・トランプ政権はロシアを懐柔しようと試みる一方、イランに対しては経済的な圧力だけでなく軍事的に威嚇、またイエメンに対しては大規模な空爆を実施している。アメリカでは国防総省が近いうちに長距離精密誘導兵器をアジア太平洋から中東へ移動させるのではないかと懸念され始めた。 しかし、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は1月17日にモスクワを訪問、その際にロシアと包括的戦略的パートナーシップ協定に署名している。しかも両国は中国と同じように、BRICS+と上海協力機構(SCO)の主要メンバーだ。 アメリカやイギリスの情報機関は2014年にウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを仕掛けて、香港では「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を展開した。ウクライナのクーデターは新たなバルバロッサの始まりであり、香港の運動は大英金融帝国の拠点を奪還すると同時に北京政府を揺さぶることが目的だったのだろう。この年、中国とロシアはアメリカとイギリスが共通の敵であることを認識、戦略的な同盟関係に入った。中国とロシアは天然ガスのパイプライン、鉄道、道路な...
現代の世界各国

「今や世界が変わってしまった」-市場激変で戦々恐々のウォール街

「今や世界が変わってしまった」-市場激変で戦々恐々のウォール街The New York Stock Exchange (NYSE) in New York, US, on Monday, April 7, 2025. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg(ブルームバーグ): トランプ米大統領は近いうちに経済だけでなく金融市場の根幹すら壊しかねないとの懸念がウォール街で広がっている。アジアと欧州の株式市場が3営業日連続で下落した後、米S&P500種株価指数は7日、わずか0.2%安にとどまり、2020年の新型コロナウイルス禍以降で最大の下げ局面にひとまず歯止めがかかった。ただ、水面下では不安が続いている。市場全体で異常な値動きが観測され、株式や債券の指標は大きく変動。リセッション(景気後退)懸念と金融市場の混乱を背景にトランプ氏が方針を転換するとの期待が交錯している。ニューヨーク時間午前10時前には株価が切り返し、数分のうちに安値から8%余り上昇。トランプ氏が関税を延期するとのうわさがウォール街に駆け巡ったためだが、うわさが誤りだと判明するや否や、株価...