2025-03-16

現代の米国

「代理戦争」――アメリカの自白

「代理戦争」――アメリカの自白 米国のマルコ・ルビオ国務長官がFOXニュースのインタビューで、ウクライナ紛争について「トランプ大統領はこれを長期にわたる膠着状態の紛争とみている。率直に言ってこれは核保有大国、つまりウクライナを支援する米国とロシアの代理戦争であり、終結させる必要がある」と発言し、それに対してロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官も「代理戦争」と呼称したことについて、「(ルビオ氏の発言に)同意する。それが現状だ。わが国の大統領と外相が繰り返し表明してきた見解と完全に一致する」と述べたことがAFP(時事)などによって報じられた。 かねてより、この戦争はNATO(アメリカを中心にした西側諸国)の東方拡大とロシアとの矛盾を根底にした「代理戦争」にほかならないという指摘が識者によってなされてきたが、両大国が今回あけすけに認めているように「代理戦争」だったということで当事者の認識も一致しており、アメリカ側もロシア側も停戦に向けて歩みを進めるということのようである。これに対してNATOのなかでもフランスやドイツ、イギリスといった国々が反発し、欧州各国と米国との溝について取り沙汰さ...
現代の日本

「この国はもうダメだと思った」 ~ 川口マーン恵美『移民 難民 ドイツからの警鐘』

No.1412 「この国はもうダメだと思った」 ~ 川口マーン恵美『移民 難民 ドイツからの警鐘』EU全体が移民受入厳格化に舵を切っているのに、もっとも問題の大きいドイツは言論弾圧をしてまで政策転換を渋っている。■1.「この国はもうダメだと思った」伊勢: 花子ちゃん、この間はフランスを中心に移民難民問題を論じたけど、つい最近、ドイツの状況を克明にレポートした本が出た。川口マーン恵美さんの『移民 難民 ドイツからの警鐘』という本だけどね。40年ほどもドイツに在住している方だから、ドイツの変化をよく見抜かれていると思う。__________JOG(1408) 移民難民問題が社会を壊す ~ 西尾幹二『「労働鎖国」のすすめ』再読 欧州社会の底辺で新たな奴隷階級にされた移民難民の2世、3世が、各地で暴動を起こしている。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄花子: 「警鐘」というからには、移民難民問題がずいぶんひどいことになっているという事ですか?伊勢: 「ひどい」という程度ではなく、昨年末に起きた事件で「この国はもうダメだと思った」とまで書いている。花子: いったいどんな事件だったんですか?伊勢: 2024年12...
日本の歴史

東京大空襲から80年:「火だるまの子ども」 次世代に伝える東京大空襲の体験 東京都江東区・築山実(当時16歳)

東京大空襲から80年:「火だるまの子ども」 次世代に伝える東京大空襲の体験 東京都江東区・築山実(当時16歳)(2025年3月7日付掲載)米軍による空襲で焼き尽くされた東京下町。両国から深川方面をのぞむ(1945年3月) 第二次世界大戦末期の1945年3月10日、米軍による無差別爆撃で一夜にして10万人が焼き殺された東京大空襲から80年を迎える。もはや日本の敗戦が決定的だった当時、マリアナ諸島を出撃して東京上空に侵入した米軍B29、352機は、人々が寝静まった午前零時すぎから東京下町を中心に油脂焼夷弾約38万発(約2000㌧)を投下した。住宅密集地を囲むように爆撃され逃げ場を塞がれた人々は、強風に煽られて広がる大火災に呑まれ、約3時間のあいだに家屋焼失27万戸、死者10万人に及ぶ大惨事となった。その後も8月まで続いた東京全域への空襲では、判明しているだけで死傷者・行方不明者は25万670人、罹災者は304万4197人(東京都調査資料)にのぼる。世界史においてもっとも無惨な大量殺戮であるにもかかわらず、戦後日本では犠牲者への補償も、国家事業として慰霊碑の建立すらされていない。この記憶の抹...