2024-09-06

現代の欧州

NATOの存在意義が薄れていく流れは誰がアメリカ大統領になっても変化はない:アメリカの下働き組織として存続していくだけのことだ

NATOの存在意義が薄れていく流れは誰がアメリカ大統領になっても変化はない:アメリカの下働き組織として存続していくだけのことだ  古村治彦です。  NATO(北大西洋条約機構、North Atlantic Treaty Organization)は、1949年に北米大陸にあるアメリカとカナダと西ヨーロッパ諸国で結成された軍事同盟気候である。加盟国のいずれかに対する攻撃を全加盟国への攻撃と見なして対処するとする集団的自衛権(right of collective self-defense)を行使する同盟である。具体的には、東西冷戦が激化する中で、ソ連からの侵略にアメリカが率いる西側諸国で対処するというものであった。ソ連を中心とする東ヨーロッパ諸国は、NATOに対抗して、1955年にワルシャワ条約機構(Warsaw Treaty Organization)を結成した。冷戦終了後の1991年にワルシャワ条約機構は解体された。しかし、冷戦で勝利し、仮想敵であるソ連が消滅して以降も、NATOは存続し、加盟国を増加させていった。その様子は以下の通りだ。このいわゆる「東方拡大(eastward ex...
現代の世界各国

欧米に操られてロシアと戦う道を選んだゼレンスキー政権の閣僚が相次いで辞任

欧米に操られてロシアと戦う道を選んだゼレンスキー政権の閣僚が相次いで辞任  ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権が沈没しそうだ。​イリーナ・ヴェレシュチュク副首相兼再統合相、オルハ・ステファニシナ欧州・欧州大西洋統合担当副首相、アレクサンドル・カムイシン戦略産業相、デニス・マリウスカ法相、ルスラン・ストリレツ環境相がウクライナ議会に辞表を提出、また大統領はドミトリー・クレーバ外相を含む複数の高官の解任も検討しているという。​そのほかウクライナ国有財産基金(SPFU)のヴィタリー・コヴァル総裁も辞表を提出、デニス・シュミハリ首相の解任も噂されている。  ゼレンスキー大統領は2月8日にバレリー・ザルジニー軍最高司令官を解任し、後任にオレクサンドル・シルスキーを据えた。ザルジニーは兵士の犠牲を少なくする作戦を採用しようとしていたが、米英政府の意向を受けたゼレンスキーは「玉砕攻撃」を繰り返させようとしてきた。アヴデフカでの戦闘でザルジニーは全面撤退を計画していたという。  ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントだと言われているが、昨年11月1日付けエコノミスト誌にザル...
現代の米国

トランプ返り咲きの周辺<1>

トランプ返り咲きの周辺<1> 11月の米大統領選はトランプとハリスの対戦になったが、ハリスはしどろもどろで、マスコミの歪曲報道だけが頼りで、極左・リベラル全体主義の自滅策をたくさん盛り込んでしまっており、人気がない。対照的にトランプは銃撃されても死なず、不死身さを醸成して人気を上げている。民主党支持者の何%かを引き連れて離党したケネディ家のRFKジュニアもトランプ支持を宣言した。ふつうに考えればトランプの圧勝になる。(Elon Musk Warns Censorship Of X "Is A Certainty" If Kamala Harris Wins)(Clips trickling out… so far, Harris flubbed CNN interview…) トランプは2017年、米国と米覇権を支配する勢力(エスタブ、深奥国家、軍産、諜報界、マスコミ)を、草の根のちから(=民主主義)で引き倒すことを掲げて大統領に就任した。彼の就任演説は、いま再読してもすごい。(トランプ革命の檄文としての就任演説) 当然ながら、支配勢力は、あらゆる手段を使ってトランプを潰そうとし続けて...
現代の世界各国

高度経済成長の過程でアメリカ視点しか持たなくなった日本を、インドはじっと見つめている

グローバルサウスの存在がますます大きくなり、世界は「全員参加型」の秩序へと変わってきている。「米中対立」や「民主主義陣営vs.権威主義陣営」といった単純な二極構造の世界観に引きずりこまれつつある状況にまずは気がつき、そこから脱却しなければならない。アメリカへの過剰同調と過剰依存だけで世界と渡り合える時代ではない。  そのうえで、アジアで信頼される、たしかな技術力を持った民主主義国家としての立ち位置を踏み固めるべきだ。日本は宿命的に米中の狭間に立つ。その日本こそがグローバルサウスの本音を理解し、しかもアメリカをアジアから孤立させず、中国を国際社会の健全な参加者にしていく役割を担うべきである。非核平和主義を貫く日本が、核兵器を保有するインドに厳しくその責任を問うことも必要だ。  こうした視点を抜きにして、インドとはビジネスだけで関わろう、ひと儲けしようなどと考えていたら日本人は冷笑される。大国主義の呪縛を超えた構想や行動が日本には求められている。 高度経済成長の過程でアメリカ視点しか持たなくなった日本を、インドはじっと見つめている 人口で中国を抜いたインド。2029年にはGDP(国内総生産...
現代のロシア

ウラジミール・プーチン大統領のモンゴル訪問とアフリカにとっての重要性

ウラジミール・プーチン大統領のモンゴル訪問とアフリカにとっての重要性 ロシア大統領のモンゴル公式訪問は、ロシアとモンゴルの二国間関係にとってだけでなく、アフリカ大陸を含むBRICS諸国と南半球諸国全体にとっても極めて重要である。 これは驚くべきことではない。なぜなら、今回の訪問は、まさにアフリカ諸国に対して長らく使われてきた、いくつかの疑似国際的構造を持つ西側諸国の少数派によって作られた固定観念をすべて打ち破るものだからだ。 ウラジミール・プーチン大統領のモンゴル訪問は実際に行われ、モスクワとウランバートルの関係を強化する上で真に戦略的に重要な意味を持つ。ロシアとモンゴルの両国民の間には大祖国戦争(第二次世界大戦)でも明らかだった強い歴史的絆があることを考えるとなおさらだ。しかし、二国間関係にとっての大きな重要性を超えて、この訪問は世界各地、特にアフリカからの観察者たちを安心させ、刺激する機会でもあった。 実際、アフリカの同僚の多くは、今回の訪問を前に西側諸国の宣伝機関が騒ぎ立てていたことを踏まえ、モンゴル大統領にとって今回の訪問が「危険」であるかどうかについて懸念を示し、疑問を投げか...