日本の歴史

阿部正弘 ~ 平和的開国のリーダー

No.1394 阿部正弘 ~ 平和的開国のリーダー ■■ Japan On the Globe(1394)■■ 国際派日本人養成講座 ■■ 人物探訪: 阿部正弘 ~ 平和的開国のリーダー 阿部正弘率いる幕末の幕閣は、高い外交能力を駆使して、平和的な開国を成し遂げた。 ■1.「幕府の高い外交能力は特筆されるべき」 __________黒船来航と日本開国について、日本には今なお次のような理解が広く存在している。(1)無能な幕府が、(2)強大なアメリカの軍事的圧力に屈し、(3)極端な不平等条約を結んだとする説である。・・・ しかし、日本側の記録にとどまらず、日米双方の資料を丹念に読み、さらに英米競争の資料や中国情報、オランダ情報などを総合的に読むと、幕府無能無策説・アメリカ軍事圧力説・極端な不平等条約説という三段論法は、歴史の実像と大きくかけ離れていることが分かる。 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  こう語るのは、加藤祐三・横浜市立大学名誉教授の『幕末外交と開国』です。加藤教授は「歴史の実像」をこう表現しています。__________ 日米和親条約は一門の大砲も火を噴かず、平和的な交渉によって結ばれた。...
現代の中国

中国「反日」のジレンマ なぜ「短期滞在ノンビザ」日本はダメで韓国はいいのか?

中国「反日」のジレンマ なぜ「短期滞在ノンビザ」日本はダメで韓国はいいのか? JAPAN PASSPORT(写真:吉原秀樹/アフロ)  中国は11月2日、韓国など9カ国を15日以内の短期滞在のビザ免除(ノンビザ)対象にすると発表した。日本は対象となっていない。韓国は良くて日本がダメな理由はどこにあるのか?考察を深めると、そこには中国「反日」のジレンマが垣間見える。 ◆中国政府ノンビザ対象国追加を発表  中国政府は11月2日、<中国はスロバキアを含む9カ国に対してビザ免除政策を試験的に実施している>という見出しで9ヵ国のビザ免除を追加的に発表している。内容は以下の通り。  ――中国外交部領事司は、中国と諸外国との人材交流をさらに促進するため、中国はビザ免除国の範囲を拡大し、「スロバキア、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランド、アンドラ、モナコ、リヒテンシュタイン、韓国」の一般パスポート保有者に対するビザ免除政策を試行することを決定した。2024年11月8日から2025年12月31日まで、上記の国の通常のパスポートを保有する者は、ビジネス、観光、家族、親族や友人訪問、乗り継ぎな...
現代の日本

森永卓郎氏が警鐘を鳴らす「世界恐慌の前触れ」 老後資金を失う人が続出する未来

森永卓郎氏が警鐘を鳴らす「世界恐慌の前触れ」 老後資金を失う人が続出する未来 半導体バブルの崩壊、そこから連鎖して起こる株価の暴落、円高の進行による日本の窮地。このままでは破産者や、老後資金を失う人が続出する......。森永卓郎氏がこのように予測する理由とは?『THE21』2024年11月号で、詳しく話を聞いた。 ※本稿は、『THE21』2024年11月号特集「これから10年の生き方・働き方」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。 日本では100年ごとに構造転換が起きている 私はまもなく100年に1度の構造転換が起こると予測しています。それがどれくらいのインパクトかを理解するために、日本で100年前に起こった変化を振り返ってみましょう。 当時は第一次世界大戦が終結して戦争特需が消え、スペイン風邪の流行も重なって日本経済が大不況に陥った時期。順風満帆な時は誰も現状を変えようとしませんが、追い詰められると人間も社会もガラリと変わります。この時に起こったのは和洋折衷というトレンド変化でした。 教科書には明治維新によって西洋化が進んだと書かれていますが、それはエリート層や富裕層に限った話...
現代の日本

政権交代阻止する国民民主

政権交代阻止する国民民主 衆院総選挙で与党は過半数割れに追い込まれたが野党が結束しないため、政権を維持することになる公算が高い。 国民民主党は103万円の壁を引き上げることを掲げて自民党と協力する姿勢を示している。 しかし、主権者が選挙で示した意思は与党を政権から引きずり下ろすことであっと解釈できる。 その民意を踏まえれば野党が連帯して政権を刷新することを検討する余地があった。 しかし、野党が共闘して新政権を樹立する場合、主役に位置することになるのは立憲民主党。 国民民主は議席を28に増やしたが148の立憲民主には遠く及ばない。 野党による政権を樹立する場合、立憲民主が中核に位置することになるのは避けられず、国民民主にとってはおもしろくないということ。 自公と協力して自公政権を支える姿勢を示せば、自公は国民民主の意向を無視することはできず、国民民主だけが主権者の注目を集めることになる。 このことから野党による連帯ではなく、自公へのすり寄りの姿勢を示しているものと理解できる。 国民の負担を軽減する施策として103万円の壁撤廃が掲げられているが、この施策の最大の欠陥は年収103万円以下の国...
現代の日本

今回の総選挙で安倍派清和会の勢力が削られたことが改めて報じられる:石破茂首相は賭けに勝ったという見方もできる

今回の総選挙で安倍派清和会の勢力が削られたことが改めて報じられる:石破茂首相は賭けに勝ったという見方もできる 古村治彦です。※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。  今回の総選挙では自公が215議席と過半数割れとなり、その後、追加公認や自民会派入りをしても、まだ過半数に届かない状況になり、自公連立政権は国民民主党との政策協議を通じて、閣外協力を取り付けることで、政権を維持することになる。国民民主党の玉木雄一郎代表は「対決よりも解決」「自民党のアクセル役に」と述べてきたことから、実質的な事項の補完勢力であって、その役割を果たしていることになる。  各党がそれぞれに政策協議を行っている様子がメディアで報道されているが、これまでの安倍派清和会一強時代の傲岸不遜、傲慢な形に比べれば素晴らしいことだ。「決める政治」などともてはやされて拙速な決定が尊ばれているが、デモクラシーはそのような拙速なものではない。アメリ...
現代の世界各国

ウクライナで敗北した欧米はモルドバとジョージアで新たな工作

ウクライナで敗北した欧米はモルドバとジョージアで新たな工作  アメリカ政府はジョージアとモルドバが自立するのを防ごうと必死のようだ。ジョージアでは2003年11月の「バラ革命」を経てヘイル・サーカシビリ政権が登場したが、その新自由主義的で反ロシア的な政策が人びとを不幸にすることを国民は知り、アメリカ離れを起こしている。モルドバも同じ道を歩み始め、その親米政権を維持することは難しい情勢になっているが、ウクライナでの敗北が決定的になっているアメリカとしては、新たなロシア侵略拠点としてジョージアやモルドバを重視しているはずだ。  サーカシビリの経歴を調べると、1994年にコロンビア・ロー・スクールで学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。その後、ニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたとされている。アメリカの支配システムの中から出てきた人物だと言えるだろう。  サーカシビリは2008年1月から大統領を務めたが、その年の8月に南オセチアを奇襲攻撃、ロシ...
現代の米国

米国はあなたの脳を植民地化するために中国嫌いのプロパガンダに280億ドルを費やしている

米国はあなたの脳を植民地化するために中国嫌いのプロパガンダに280億ドルを費やしている 物語を所有する者は世界を所有する。そして、米国の影響力キャンペーン、あるいは「認識管理」として知られる転移性脳腫瘍に反対する私たちにとって、状況ははるかに厳しくなった。 米国下院はプロパガンダと秘密活動への資金を驚異的に増加させるため、中国(中華人民共和国)の悪意ある影響力に対抗する基金を可決し、16億ドルを追加投入した。この基金やその他の影響力基金の使い道はほぼ秘密だが、安心してほしい。あなたの神経経路は彼らの標的になっている。政治家、将軍、ジャーナリスト、メディア、影響力のある人々、あらゆる種類の組織が買収され、所有され、中国、イスラエル、パレスチナ、イラン、ロシア、ウクライナ、シリア、その他必要と思われるあらゆることに関する米国の見解をあなたに受け入れさせるための取り組みが拡大される。 米国の偽情報/認識操作キャンペーンは極めて重要で、西側諸国の何百万人もの年配の白人(彼らは他のほとんどすべての人を失っている)に、米国には政治指導者を暗殺する権利があり、何百万人もの非白人、特に女性と子供を殺害...
中国の歴史

中国は建国以来「夫婦別姓」 台湾や香港に残る清王朝時代の痕跡

中国は建国以来「夫婦別姓」 台湾や香港に残る清王朝時代の痕跡 中華人民共和国を建国させた毛沢東(写真:ロイター/アフロ)  日本では働く女性が増えるにつれて「夫婦別姓」制度が注目されるようになった。女性への差別撤廃を目指す国連委員会からの勧告は皇室問題にまで触れ、日本政府では越権と受け止めている。   ならば、中国ではどのように推移してきたのだろうか。  少なくとも現在の中国は建国以来、婚姻法で「夫婦別姓」を定めているが、清王朝時代の「冠夫姓」(夫の姓を妻の姓の前に持ってくる)慣習が1929年に中華民国の民法により法制化された。その「冠夫姓」が台湾に一部残っていることを「夫婦別姓」問題考察中に発見できたのは新鮮な驚きだったが、中華民国の統治を受けていない香港にも残っていることを考えると、清王朝の痕跡のようで、なんとも興味深い。 ◆中国は建国以来「夫婦別姓」 毛沢東が強く「男女平等」を主張  中華人民共和国は1949年10月1日に建国したが、その翌年の1950年4月30日に「中央人民政府委員会第七次会議」は「中華人民共和國婚姻法」を制定し、毛沢東の「主席令」として発布した。  その第三章...
日本の歴史

日本の「土地」には「神や霊や念」がやどっている…「日本の古典」を読むと、強くそう思える理由

日本の「土地」には「神や霊や念」がやどっている…「日本の古典」を読むと、強くそう思える理由 「和歌」と聞くと、どことなく自分と縁遠い存在だと感じてしまう人もいるかもしれません。 しかし、和歌はミュージカルにおける歌のような存在。何度か読み、うたってみて、和歌を「体に染み込ませ」ていくと、それまで無味乾燥だと感じていた古典文学が、彩り豊かなキラキラとした世界に変わりうる……能楽師の安田登氏はそんなふうに言います。 安田氏の新著『「うた」で読む日本のすごい古典』から、そんな「和歌のマジック」についてご紹介していきます(第12回)。 この記事は、『「日本の古典」と「西洋の古典」の大きなちがい…じつは「地名」の扱い方に、こんなに差があった』より続きます。 前の記事では、日本の能では、登場人物(ワキ)が各地を漂泊する様子を、その地名を読み込みながら描いた「道行」という表現があることなどを見ました。西洋の古典にも似たような表現が見られますが、そこでは「地名」は比較的シンプルに、それほどの工夫をともなわうに扱われるのでした。しかし、日本の古典では……。 和歌と枕との深い関係 俊基卿の道行にも表れる「...
現代の世界各国

金価格、史上最高値からどう動く?まだ買い?中国の大量買いと米大統領選の影響を分析=斎藤満

金価格、史上最高値からどう動く?まだ買い?中国の大量買いと米大統領選の影響を分析=斎藤満 金価格が上昇を続けています。NY市場では10月30日に1オンス2,800ドルの最高値をつけ、東京でも10月31日に1グラム1,500円を超えました。直近の政治イベントや世界情勢を踏まえて、今後の金価格の上昇余地を探ってみます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満) 【関連】「貯蓄から投資へ」の残酷さ。政府は国民を切り捨てる意図で投資を奨めている=鈴木傾城 ※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2024年11月1日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。 プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014...
現代の日本

給料が上がり、高齢者もみんな働く社会に…じつは激変していた日本経済「人手不足の実態」

給料が上がり、高齢者もみんな働く社会に…じつは激変していた日本経済「人手不足の実態」 この国にはとにかく人が足りない!個人と企業はどう生きるか?人口減少経済は一体どこへ向かうのか? なぜ給料は上がり始めたのか、経済低迷の意外な主因、人件費高騰がインフレを引き起こす、人手不足の最先端をゆく地方の実態、医療・介護が最大の産業になる日、労働参加率は主要国で最高水準に、「失われた30年」からの大転換…… 発売即3刷が決まった話題書『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』では、豊富なデータと取材から激変する日本経済の「大変化」と「未来」を読み解く――。 〈中長期的な視座で経済のデータを確認していくと、労働者をとりまく労働環境や企業の経営行動の構造は近年確かに変わってきている。 たとえば、この十数年で労働者の行動は大きく変容した。近年、女性や高齢者の就業率は急速に上昇し、女性も高齢者も働くことは当たり前になっている。また、長時間労働は激減しており、多くの人がこれまでよりも短い労働時間で働くようになった。 賃金はといえば、確かに年収水準でみれば大きく上がってはいない。あるいは、この...
現代の世界各国

厚顔無恥なイスラエルの成功

厚顔無恥なイスラエルの成功 2024年11月2日   田中 宇 イスラエルは、ガザでの虐殺と、レバノンでのヒズボラ潰しの両方が仕上げの段階に入っている。イスラエルはガザ北部で、本当の市民はすでに全員南部に避難したはずだと考え、北部に残っている市民をハマス要員とみなし、無差別な殺害を開始している。ガザ北部の人々を全員殺し、建物を瓦礫の山にした後、ユダヤ人入植地に転換する計画も始まっている。パレスチナとしてのガザ北部は抹消されつつある。イスラエルは、国連のパレスチナ支援機関であるUNRWAを親ハマスとみなし、パレスチナ(ガザと西岸)での活動を正式に禁止した。イスラエルはパレスチナを抹消していく計画だから、UNRWAも不必要だと考えている。(Entire northern Gaza population at risk of dying)(For 75 years, UNRWA has sought to undermine Israel, perpetuate conflict)ガザは外部から閉鎖されており、UNRWAなど支援機関による物資の搬入がないと市民は生きられない。イスラエルは今年...
現代の米国

トランプが勝ちそう

トランプが勝ちそう 2024年11月1日   田中 宇 11月5日の米大統領選挙は、民主党側(の背後にいる米諜報界の覇権維持派)が徹底的な選挙不正をやらない限りトランプが勝つ。マスコミの接戦報道のウソと裏腹に、ハリスは人気が落ちている。米国では、リベ全系のマスコミでさえハリス批判の記事を出し始めている。(Economic concerns are top of voters' minds, but Kamala Harris is choosing a different path for her closing argument)(米大統領選、裏の仕掛け)全力で動くべき選挙戦の終盤なのに、ハリスは先週2回も休みをとった。もう勝てないとわかっているかのようだ。もしくは、徹底的な選挙不正による「ニセの勝利」が確定しているのか。(Kamala spends second straight campaign-free day standing in a doorway complaining about Trump…)(無能なハリスを有能と歪曲する)トランプは、勝って返り咲いたら、2016-...
現代の米国

米国では「トランプ勝利」を見据えた動きが…!国民がドン引きしたハリスの「罵詈雑言」と主流派メディアの「変化」

米国では「トランプ勝利」を見据えた動きが…!国民がドン引きしたハリスの「罵詈雑言」と主流派メディアの「変化」 失言のハリス アメリカ大統領選挙の投票日が近づいてきたが、この3ヶ月ほどの大統領選挙をめぐる流れを簡単に振り返っておきたい。 民主党の大統領候補がジョー・バイデンからカマラ・ハリスに切り替わった当初の段階では、ハリス陣営は選挙戦でなるべくハリスを表に出さない戦術を採用していた。ハリスを表に出すと、何を話すかわからず、言葉に詰まってまともに話せなくなることも起こりうるからだ。なお、副大統領候補のティム・ウォルズも失言が多いことで知られている。 一方トランプ側は、トランプにせよ、副大統領候補のJ・D・ヴァンスにせよ、明らかに自陣営に敵対しているメディアにもどんどんと出演して、自らの考えをなるべく広く伝えることを重視してきた。こうした中でハリス優勢とされた状況がどんどんと崩されていった。 by Gettyimages これに焦ったのか、ハリス陣営も方針を転換し、どんどん露出する戦略に転換したが、これが心配された通り裏目に出たために、再びハリスは表舞台にあまり出なくなった。その代わりに...
現代の米国

米国市場は「トランプ再選」を先読みか。米大統領選の結果が為替と日本株に与える衝撃とは=斎藤満

米国市場は「トランプ再選」を先読みか。米大統領選の結果が為替と日本株に与える衝撃とは=斎藤満 米国大統領選挙が目前に迫るなか、金融市場は再び混乱の兆しを見せています。過去にトランプ氏が絡んだ選挙では、市場が大幅に乱高下し、投資家は予想外の動きに戸惑いました。今回はどちらの候補が勝っても、大きな市場の変動が予想され、すでに金融機関は対応の準備を進めています。投資家は、この先行き不透明な大統領選にどのように備えるべきなのでしょうか。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満) 【関連】「貯蓄から投資へ」の残酷さ。政府は国民を切り捨てる意図で投資を奨めている=鈴木傾城 ※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2024年10月30日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。 プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミ...
現代の米国

米大統領選、早くも投票をめぐって大混乱…この先一体どうなる⁉

米大統領選、早くも投票をめぐって大混乱…この先一体どうなる⁉ 11月5日の米大統領選を前に、すでにさまざまな混乱が起きている。たとえば、テキサス州で10月21日に期日前投票が開始されると、フォートワース(群庁所在地)があるタラント郡(同州で最も人口の多い郡のひとつ)の投票機が、「票をすり替えている」という主張が、ネット上で広まった(CBSニュースを参照)。 しかし、選挙当局はこの主張に反論し、この問題は人為的ミスによるもので、修正され、投票機が票を改竄(かいざん)した形跡はないことを確認したという(Xの情報)。ほかにも、テネシー州やジョージア州でも、投票機に関する同様のデマが流れたが、各州の選挙当局は、機械の改竄ではなく有権者のミスだとしている、と報じた。 投函箱への根深い不信 10月19日付の「ニューヨークタイムズ」は、「ウィスコンシン州ではすでに投票用紙をめぐる争いが始まっている」と書き、「共和党が法廷闘争を展開し、そのほとんどが禁止されるまで、ウィスコンシン州で長年使われてきた『ドロップ・ボックス』(投函箱)が復活した」と報じている。 ウィスコンシン州はいわゆる「スウィングステー...
現代のロシア

中露を軸とした「BRICS+」の狙い G7を超えて「米一極支配からの脱出」を図る

中露を軸とした「BRICS+」の狙い G7を超えて「米一極支配からの脱出」を図る BRICS+首脳全体会議で話をする習近平国家主席とプーチン大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)  10月22日から24日にかけてロシアのカザンでBRICS(5か国)拡大後初めてのBRICS+(9か国)首脳会議2024が開催された。新たに加わった4か国を含め、共通するのは「パレスチナを国家として承認していること」と「対ロ制裁をしていないこと」、および「米国からの制裁を受けている国が多いこと」だ。その意味でG7を超える、「米一極支配からの脱却」を目指す「非米側陣営」の集まりであることが鮮明になっている。  BRICS+加盟国の世界人口比は45%。参加した加盟希望国(28か国)の構成を考えると、世界人口の大半以上を含む、中露を中心としたグローバル・サウス諸国が、非米側型すなわち非G7型の国際秩序という大きな流れを作りつつあると言える。それでも内部に潜む不協和音にも目を向けながら考察する。 ◆「BRICS+」各国の人口構成とGDP&購買力平価GDP  その証拠に、新興5か国(ブラジル、ロシア、インド、中国、...
現代の日本

かつて世界を席巻した日本が「衰退途上国」と揶揄されるようになった原因

かつて世界を席巻した日本が「衰退途上国」と揶揄されるようになった原因 衆議院選挙が終わり、その結果が多く報じられる中で、意外に知られていないのが「女性の当選者が過去最多」という事実です。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、健康社会学者の河合薫さんが、日本をここまで衰退させた理由について、この「女性の地位向上」を後退させてきた我が国の責任であると厳しく断じています。 日本が衰退する理由 衆議院選挙が終わりました。投票率は53.85%。政権交代が起きた2009年は69.28%と7割近かっただけに物足りないとしかいいようがありません。 しかし一方で、投票率が低いと組織力のある与党に有利に働くとされる中での与党過半数割れですから、多くの人たちが「変化」を求めているのでしょう。 今回、NHKで開票結果をずっと見ていたのですが、「女性の当選者、結構多い!」というのが率直な印象です。 衆院選に立候補した人のうち女性は過去最高の23.4 %。立憲は候補者のうち22.4%が女性でもっとも多く、当選した女性議員も、もっとも多い30人でした。 目標の3割には届かなったものの、立憲...
現代の日本

なぜ日本「劣化」止まらぬ?東証インサイダー疑惑、行政の情報隠蔽、司法の捏造ほか先進国とは言えないレベルに=原彰宏

なぜ日本「劣化」止まらぬ?東証インサイダー疑惑、行政の情報隠蔽、司法の捏造ほか先進国とは言えないレベルに=原彰宏 日本の国家機能「劣化」が浮き彫りになっています。東京証券取引所のインサイダー取引疑惑、行政の杜撰な記録管理、そして司法の捏造問題など、経済・行政・司法の各分野での信頼低下が加速。このままでは日本の民主主義と法治国家としての信頼が地に落ちてしまいます。(『らぽーる・マガジン』原彰宏) 【関連】牛を殺せば助成金…。政府に振り回される酪農家たち。過去最悪レベルの「牛乳ショック」で毎日生乳廃棄へ=原彰宏 ※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2024年10月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。 日本の国家機能「劣化」がよくわかる2つの出来事 「日本」という国家機能が大劣化しています。 東京証券取引所の職員が業務で把握した未公開の情報を親族に伝え、インサイダー取引に関わった疑いがあるとして、証券取引等監視委員会から強制調査を受けていたことが分かりました。 東京証券取引所の20代の男性職員が、今年、株式公開買い付け(TOB)の上場企業...
現代の日本

旧安倍派が「最大勢力」から屈辱の「党内第5位」に転落…!総選挙で惨敗した石破総理「本当の狙い」

旧安倍派が「最大勢力」から屈辱の「党内第5位」に転落…!総選挙で惨敗した石破総理「本当の狙い」 早期解散総選挙を発案したのは実は誰か 今回は10月27日に投開票された総選挙結果を分析してみたいが、その前に多くの人が考えているのとは明らかに異なる私の前提を話しておきたい。 報道においては、石破総理は早期に解散するつもりはなかったが、森山幹事長などに押し切られる形で解散総選挙に踏み切ったとされ、そのことを信じている人が多いのではないかと思う。 しかしながら、私の見立てはこれがそもそも違っていたのではないかというものだ。 石破総理は自民党を勝利させるために今回奮闘したのではなく、自民党の保守派にダメージを与えることを最優先し、その結果として自民党が敗北しても全く構わないという考えのもとで選挙戦を戦ったのだと、私は考えている。 by Gettyimages 「ルールを守る自民党、国民を信じ、逃げることなく正面から語る自民党を作っていく」と公約して総裁選挙で勝利しながら、それを完全に裏切る行動に自ら出るということは、普通の考えでは導けない話だ。 敵を作らない人格者として知られる森山幹事長が、石破...
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